がっつり!プロ野球厳選ライター陣が贔屓球団の今季を綴る”私的コラム”俺と12球団と2021年
プロ野球12球団、それぞれを愛してやまない書き手たちに、喜びや悲しみ、怒りなど思いの丈を思いっきりぶちまけてもらうこの企画。お待たせしました!2年ぶりの復活です!果たして2021年の書き手たちは、どんな〝思い〞を綴るのか
俺とマリーンズと2021年/書き手・飛鳥田勝利
●佐々木朗希の成長がエグすぎる件について
2年ぶりにこの企画の執筆依頼をいただき、まず「2年前に何を書いたんだっけ?」と思い、バックナンバーを漁ってみて我ながら驚愕した。当時書いたテーマは「、佐々木朗希をどう育てるか?」ちょうど、ドラフトでロッテが佐々木朗希を引き当てた直後に書いた当時の原稿、僭越ながら一部を抜粋して再掲載させて頂きたい。「まず、佐々木については徹底して『特別扱い』していいと思う。メジャーのように1年目から球数やイニング制限を設けるのはもちろん、1、2軍でカテゴライズするのではなく、吉井コーチを筆頭に常に複数体制で指導、育成を行う。そのくらいやっても、誰も文句は言わないだろう。まず不可能だが、『佐々木専用コーチ』を置いてもいいくらいだ。」
いかがだろうか――。誰も褒めてくれないから自画自賛するしかないのだが、筆者が提案したこの育成プラン、まんまロッテが実践しているではないか! 1年目は1軍には登録されないながらも、シーズン通して1軍に帯同し、吉井コーチのもとで英才教育を受けた。2年目の今季は、球数や登板間隔に気を使いながら実戦で使われた。結果、佐々木がプロ2年間でどうなったか――。
はっきり言って「バケモノ」だと思っている。高校時代に最速163キロを計測しながら、プロ入り後はまだ160キロの剛球は投げていない。当時と比較すると、左足の上げ幅もやや小さくなり、フォームもおとなしくなった印象を受けるかもしれない。ただ、むしろそれこそが佐々木の「進化」だ。まず、直球のスピードはコンスタントに150キロ台中盤をマーク。それでいて「剛球投手」にありがちな粗っぽさがない。190センチの長身と長い手足を、見事に制御できていることがわかる。
シーズン成績は11試合、3勝2敗、防御率2.27、68奪三振。この数字でも十分だが、優勝争いを繰り広げていた終盤は、まさに「無双レベル」の投球を見せていた。クライマックスシリーズ初戦も含めた今季ラスト3登板、佐々木は18回を投げて自責点0(失点3)、29奪三振という圧倒的な結果を残している。
高卒2年目でこのレベルまで来た。筆者はこの時点で、佐々木が目指すべき投手像を確信した。それが、メジャーナンバーワン投手のジェイコブ・デグロム(メッツ)だ。最速165キロの直球に加え、150キロ前後のスライダーをコーナーにビシビシと決める史上最強右腕――。今季はケガで途中離脱したが、15試合に先発して防御率1.08、92回で146奪三振という異次元の投球を見せている。
身長は佐々木より3センチ高い193センチだが、細身の体系、長い手足は佐々木に通ずるものがある。高校時代から「大谷翔平二世」などと呼ばれた佐々木だが、最もタイプが近いのはむしろデグロムだ。もちろん、現時点でのそれは「可能性」に過ぎない。ただ、プロでの2年間を振り返り、現在地を改めて見直してみると、その可能性は決して低くない。佐々木にとって今季はあくまでも“序章”だ。本格的にローテ入りすることが予想される来季、果たしてどんな“バケモノ”ぶりを見せてくれるのか、楽しみだ――。
書き手・飛鳥田勝利
1980年生まれ、千葉県出身。大学卒業後、食品会社に就職するも30歳を前にして編集プロダクションに転職。大学まで続けた野球の原稿をもっと書きたい、と35歳を機にフリーランスに。地元が千葉ということで子どものころからロッテファン。安田尚憲、藤原恭大、山口航輝、佐々木朗希の将来に思いを馳せる今日この頃。
出典:『がっつり! プロ野球(30)』
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公開日:2022.01.29