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オリックス山岡泰輔が160km超の大谷翔平/藤浪晋太郎など長身投手に劣らない世界でも類を見ない速球派投手になれたワケ

Text:中島大輔

パーソナルトレーナー高島誠が明かす!なぜ、山岡泰輔は172センチ、68キロの小柄な体格で150km/hを投げられるのか!?

●目標はプロ入りではなく、その後活躍することだった山岡泰輔
社会人1年目の都市対抗で150キロを計測すると、順調に成長してプロ入りを果たした。その裏で行っていたトレーニングの成果について聞くと、高島氏から意外な答えが返ってきた。「周りから見ると、たぶんわからないと思います。アウトローに質の高いボールを投げる能力は高校時代から高かったので」傍目にはわかりにくいが、山岡自身は投手人生の転機になったと振り返る。

 

山岡が見据えたのはプロ入りではなく、その後活躍することだった。トレーニングは一体、何のために行うのか。日本の野球界ではまだまだその目的や効果が知れ渡っていない部分も否めない。一般的には「身体を鍛えて大きくすること」というイメージがあるなか、高島氏はこう説明する。「トレーニングは特に体の使い方を覚えるために行います。プラス、筋力アップにもつながるようにウエートで負荷をかける。そうすると、重たいものが楽に挙げられるようになります。重たい器具を持ってスクワットをしても、疲労感が前より全然ない。そう感じるのは体の使い方がうまくなって、出力も上がっているからです」

プロで活躍するために不可欠とされるのが「再現性」だ。質の高い球を1球投げられても、最高峰の世界で生き抜くことはできない。繰り返し発揮していく能力が求められる。

例えば剛腕系のリリーフ投手なら、1イニングを15球で抑えることが球数的な目安とされる。裏を返せば、それより多くなると出力が下がりがちで、力では抑え切れなくなるからだ。長いイニングを投げる先発タイプにはもっとスタミナが必要になる。体力に加え、球の質を落とさないために、筋力を持続的に発揮できる能力だ。

山岡はトレーニングでこの点を磨いたからこそ、飛躍することができたと高島氏が振り返る。「もともと1球1球のポテンシャルは高かったなか、高い出力で投げられる回数が増えていきました。瞬発力の持続的な部分ですね。加えて、力任せに投げるのではなく、どうやって質の高い150キロを投げるかを考えて取り組み、球速も上がっていきました」

社会人3年目の年にドラフト1位でオリックスに指名されると、入団1年目から先発ローテーションの一角を任され、3年目には13勝4敗で最高勝率のタイトルを獲得した。同年オフには侍ジャパンに選ばれプレミア12に出場している。4年目の昨季はシーズン序盤に左脇腹を痛めた影響で不本意な成績に終わり、今季は右ヒジの関節炎で6月に離脱した。チームが優勝争いを繰り広げる中で悔しい離脱となってしまったが、投手としての上積みを目指した取り組みがあった。

 

高島氏が言う。「ストレートは投げる頻度が高く、被打率としては一番高い球種です。だからホップ成分を増やし、球の質を高めようとしました。来るとわかっていても、打たれない球を目指したんです」 速球のホップ成分を増やそうとしたのは、球威を高めることが目的だった。回転数が増せば、相手打者を力で押し込める。パワーカーブのような縦スライダーを武器とするなか、緩いカーブを習得すれば投球の幅を増すことができる。これらのトライは、投手として成長を求めてのことだった。

 

常に自分をアップデートさせようとする向上心と、進むべき道を見定めて試行錯誤する姿勢こそ、山岡の秀でた能力だと高島氏は指摘する。「当然今から身長は伸びませんし、体重も激増しにくいタイプです。筋量が増えたからといって、一気に伸びるタイプではありません。逆にだからこそ自分に何が必要かをしっかり考えて構築していける。その能力は年々高まっているように感じます」サイズ的には平均的な日本人と変わらないものの、秀でた柔軟性や身体操作性を磨き、明確な意図を持ってトレーニングに取り組んできた。だからこそ山岡は、世界でも類を見ない速球派投手になることができた。

出典:『がっつり! プロ野球(29)』

『革新的投球パフォーマンス』
著者:高島誠

「高校生なら誰でも140km/hを投げられるようになる」という命題に明確な回答をする超実践本!近年成長著しい広島県私立武田高校で強化メニューを担当するトレーナーの高島誠の下には、山岡泰輔投手や高橋礼投手というプロの投手たちもシーズンオフにトレーニングにやって来ます。高島はどんな指導をして成長に導いているのか。その考え方や練習&トレーニング方法を写真とQRコードで詳しく解説!

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