日本人の特性
●体幹が柔らかい
欧米人は体幹があまり動かない反面、肩関節と股関節が単独で動きやすいという特徴があります。一方、日本人は、ほかの国の人に比べて、非常に体幹が柔らかいという特徴があります。これは、日本の「しつけ」に体幹を使う動作が入っているため、子どもの頃から自然に鍛えられているからだと思われます。格闘技でも球技でも、手を伸ばして相手やボールを取りに行くことと、身体で伸びる方向を決め、移動してから手で取りに行くのでは、可動域も動きの精度もまったく違ってきます。
このように、国や人種によって身体特性が違うということは、その特性を競技に生かすことで大きな強みにすることができるのです。
●緻密な動作に長けている
日本人は何度も同じ行動をとることができ、その誤差を認知できる緻密さを持っています。ある団体競技の外国人コーチも「日本人は細かく速く動くことができる」と話していたことがあります。また、軍事においても、近隣諸国と合同で行う訓練で、日本の自衛隊の能力の高さは突出していると聞きます。個々の能力が高く、さらにチームとしての統率が突出しているという点は、スポーツの世界にも共通するものと言えるでしょう。
●時間をコントロールできる
前述のように日本人は体幹が柔らかく、身体を細分化して使う能力が高いため、時間をうまくコントロールする能力にも長けています。たとえば、バレーボールでは、空中で時間をコントロールすることで、相手の準備が整う前に攻撃することができます。今このような攻撃ができるのは日本人選手だけです。時間をコントロールできるということは、空間もコントロールできるということですから、これはどの競技にも共通する大きな強みと言えます。体幹が柔らかい欧米人は体幹部があまり動かない反面、肩関節と股関節が単独で動きやすいという特徴があります。
一方、日本人は、ほかの国の人に比べて、非常に体幹が柔らかいという特徴があります。これは、日本の「しつけ」に体幹を使う動作が入っているため、子どもの頃から自然に鍛えられているからだと思われます。
●武道から生まれる世界観
日本発祥の武道には、独特な精神性や、そこから派生する姿勢、間合い、構えなど、スポーツにはないものがたくさんあります。武道ならではのこうした世界観が多くの人を惹きつけ、今や世界中の人々から注目されているのです。もちろん、ほかの競技者からもです。私が提唱する身体理論も、最新の研究によるものだけではありません。日本古来の所作動作や武芸武術といった先達の教えによるところが多く、まさに日本文化から生まれたものと言えます。
40数年にわたり、「4スタンス理論」をはじめとする身体特性の研究を行ってきた私は、常に日本に生まれたことを誇らしく思っています。
【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一
「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!
公開日:2021.08.09