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千葉ロッテマリーンズ井口資仁監督。ゼネラルマネジャーへの夢【監督就任のいきさつ.2】

Text:井口資仁

2021年シーズン。日本一へ向け死闘を繰り広げる千葉ロッテマリーンズ。その指揮官・井口資仁は、これまで監督としてチームを率いる上で、どんな思いを抱いていたのか。
開幕前、3月に上梓された書籍『もう下剋上とは言わせない~勝利へ導くチーム改革~』からその一部を抜粋してお届けする。今回は、千葉ロッテマリーンズから監督オファーに即答しなかった理由。

いつかは叶えたい大きな夢

 2005年、僕は福岡ダイエーホークス(当時)からMLB(メジャーリーグベースボール)のシカゴ・ホワイトソックスへ移籍。その年、チームは88年ぶりのワールドシリーズ制覇を達成した。その後、ホワイトソックスからフィラデルフィア・フィリーズ→サンディエゴ・パドレス→フィリーズと移籍し、2009年からは日本球界に復帰してマリーンズでプレーするようになったが、その間もずっとホワイトソックスとは親交が続いていた。

 実は、そのホワイトソックスからは「現役引退後はコーチとして迎え入れてもいい」という話をもらっていた。

 NPBとは違いMLBでは、指導者として選手時代の実績はあまり考慮されず、一からキャリアを積まなければならない。もちろん、指導者経験のない自分の立場では当然、ルーキーリーグからのキャリアスタートとなるはずだ。

 選手時代に僕は、ケガをしてマイナーリーグで調整したことはあるものの、それ以外の期間はメジャーリーグのチームに在籍していた。そんな自分にとって、ルーキーリーグや1Aリーグの現場はもちろん初めての体験だ。すべての経験が新鮮で自分の糧になる。

 日本野球界に比べスケールの大きな米国球界の全貌を知る上でも、組織のピラミッドの底辺の位置から指導者の経験を積むことは魅力的に映った。

 そんな状況の中、急きょ届けられたマリーンズ一軍監督就任のオファーである。

 先ほど、現役引退直後の進路は定かではなかったと言ったが、当然、野球と携わっていきたいという大まかな希望やビジョンは抱いていた。

 そして、いつかは叶えたい大きな夢もあった。

 それは――プロ野球チームのGM(ゼネラルマネジャー)になること。

 GMとは、オーナーから任された予算の中で選手を集め、チームを編成する役職だ。いつかその立場になって、自分の思い描く通りのチームを作りたいと思ってきたし、その夢は現在も抱いている。

 言うまでもないが、一人の野球人としてNPB球団の一軍で指揮を執ることは、とても魅力的な仕事だ。実際、監督は自分がなりたいからと言って就けるような職でもない。付け加えるなら、将来的にGMになる夢を目指す上でも、マリーンズの監督になることはプラスのキャリアとなるだろう。

 では、それだけ魅力的な仕事のオファーがあった時点で、なぜ即答で承諾しなかったのか?

 それは、僕自身の中に監督就任に際し、球団側に吞んでほしいいくつかの条件があったからだ。

ーー次回、いくつかの条件とは?「監督就任へのいきさつ.3」へ続く

出典:『もう下剋上とは言わせない~勝利へ導くチーム改革~』著/井口資仁 日本文芸社刊
記事内容は21年3月の書籍出版時点のもの。

書籍情報
『もう下剋上とは言わせない~勝利へ導くチーム改革~』
著者:井口資仁 日本文芸社刊

井口監督が目指す常勝チームの姿とは?
現役時代、大リーガーとしてワールドシリーズ制覇に貢献した千葉ロッテマリーンズ井口監督の改革と手腕に迫る。
ロッテは日本代表メンバーが選手にいないにも関わらず、2020年シーズン、2位を獲得した。
コロナ禍にも見舞われ、若手主体の戦いを余儀なくされた裏で、いったい井口監督は何を実行していたのか?
監督就任以来実行してきたコーチングスタッフの引き抜き、球場施設の整備・変更、練習内容の充実、選手の体調管理、フロントへの提言、ドラフトへの要望、若手の育成指導、ミーティングの進め方、試合分析などを完全網羅する。

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