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サッカーで適切な得点チャンスを生み出すダイヤモンド・オフェンスとは!?【ダイヤモンドオフェンス】

Text:坂本圭

ダイヤモンド・オフェンスとは何か?

ダイヤモンド・オフェンスの目的は適切な得点チャンスを生み出すことであり、具体的にはグラウンドの中央で優位性を生み出し、相手ゴール前で2対1の数的優位の状況を作り出すことである。

ダイヤモンド・オフェンスは、ポジショナルプレーをするためのつの方法論であり、バスケットボールの攻撃方法であるトライアングル・オフェンスの理論からヒントを得てサッカーに適応させたものだ。4人でダイヤモンド(菱形)を形成し、それを人でチームの攻撃システムにおいて可能な限り形成することで、ボール保持者に常に「5つのプレーオプション」を提供することを基本原則としている。その状況から、各局面でオーバーロードを生じさせて、最終的に相手ゴール前で2対1の数的優位の状況を作り出し得点チャンスを得るのがダイヤモンド・オフェンスである。

サッカーの攻撃における適切な距離は、その試合の選手のポジショニングによって様々だが、一般的に選手間の一定の距離は、通常15〜20メートルが適切である。しかし、試合の状況によっては適切な距離が、例えば相手ゴール前では10メートルの場合もある。

ボール保持時の選手間の距離が15〜20メートル、もしくはその状況に適切な距離であれば、相手がボールを取るために動くことで常にフリーな選手が存在する。その上で選手人人がどこにポジションを取るか、その配置が重要になる。

攻撃側のチームは、常に15〜20メートルの選手間の距離を取ったダイヤモンドを形成することで、ボール保持者に「5つのプレーオプション」を与え、ライン間バランス(例DFラインとMFライン)を維持することができる。

ここで大事なことは、ボール保持者が「5つのプレーオプション」を見つけるのではなく、ボール保持者の近くにいる選手がボール保持者に5つのプレーオプションを提供することだ。ボール保持者に常に「5つのプレーオプション」を提供するためには、ボール保持者の近くいる選手や遠くにいる選手も含め、選手全員が次のプレーを予測して動かなければならない。

『著名人の言葉』
テックス・ウィンター(トライアングル・オフェンスを考案したNBAコーチ)
「選手は互いに一定の距離を離れている必要があり、その距離は様々である。(中略)この適切な距離で、もし、ディフェンスがインターセプトを試みようとすれば、常にオープンな選手が存在する」

5つのプレーオプション
(4つのプレーオプションと個人プレーの優先順位)

ボール保持者に提供されたプレーオプションには優先順位がある。

【1】縦パス
ボール保持者は、深い位置で優位性を獲得している選手がいる場合、深い縦パスをその選手に渡す。

【2】斜めのパス
ボール保持者は、深い位置で優位性を獲得している選手がいる場合、深い斜めのパスをその選手に渡す。

【3】個人プレー(コンドゥクシオン)
前方にオープンスペースがあるときはコンドゥクシオン(スペースへ運ぶドリブル)で前進し、相手のプレッシャーを受ける前に次のアクションを実行する。

【4】横パス(方向を変える)
オープンスペースでフリーな選手を探すために、横パス(サイドチェンジ)を実行する。

【5】バックパス(リスク回避のパス)
ボール保持者は後ろのラインにいる選手にバックパスを実行し、新しい攻撃の局面を開始するためのボールポゼ ッションを保証する。

ボール保持者の後ろに必ず危険回避のためのサポートの選手を配置することで、安全なパスコースが確保されている。ボール保持者がボールを失った場合でも、後ろにサポートに入っている選手が「カウンタープレッシング」を実行し、相手の「カウンターアタック」を避けることができる。ただし、上記の優先順位は、ボール保持者がゾーン1、2にいる場合に限る。ゾーン3ではその優先順位が若干変わるが、それは後ほど説明する。

●ボール保持者の優先順位
相手の守備組織は一般的にラインディフェンスをする。攻撃側のFWラインの選手(CFやWG)は、オフサイドにならないようにして、相手DFラインの背後を取ることでダイヤンドの頂点に移動する。最終的なダイヤモンドの頂点は相手ゴールになるので、ボールを相手GKの背後に通しゴールに得点する。


●カウンタープレッシング
ボールを失ったチームの守備への切り替えの場面で、後退せずに相手のカウンターアタックを防ぐために、相手ボール保持者やその近くにいる選手にプレッシャーをかけ、ボールを取り戻すプレー。

●ゾーン2でボールを保持した場合
例えば攻撃側のWGが相手DFの背後を取り、縦パスを受けるために走り出した場合、他の選手が、WGがいたスペースを埋める。図では、WGが空けたスペースをSBが埋めている。ダイヤモンドの形成はボール保持者の周囲が優先される。ボール保持者に迅速に「5つのプレーオプション(4つのプレーオプションと個人プレーの優先順位)」の選択肢を与えるためだ。


●選手のポジショニングのキーファクター
次は、試合中、ダイヤモンドを形成し、ライン間バランスを保ち、常にボール保持者に対して「5つのプレーオプション(4つのプレーオプションと個人プレーの優先順位)」を提供するための選手のポジショニングのキーファクターである。


●キーファクター
・選手間の距離は15~20メートルが望ましい。
・ボールが位置するラインの選手(例MFライン)に対して、前のラインと後ろのラインの選手は斜めの位置関係になる。
・ボールが位置するライン(例MFライン)の前後の2つのラインの選手(FWラインとDFライン)は縦の位置関係になる。
・前進すること(縦パス、斜めのパス)を考える。
・パスコースを作る。

出典:『ダイヤモンドオフェンス サッカーの新常識 ポジショナルプレー実践法』著/坂本圭

『ダイヤモンドオフェンス サッカーの新常識 ポジショナルプレー実践法』
著者:坂本圭

日本ではまだ珍しいサッカー攻撃の概念・ポジショナルプレーを取り入れた戦術書!!スペインのプロチームでコーチライセンスを獲得した著者が、サッカーを勉強したい学生や指導者、日本式ではなく世界のトップシーンで導入されている新しいサッカーの攻撃方法を実践したいと思っている方々のために、ポジショナルプレーを実践するための方法としてダイヤモンドオフェンスを伝授します。