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フランシスコ・セイルーロが考案した「優先シミュレーション状況(SSP)」とは!?【ダイヤモンドオフェンス】

Text:坂本圭

認知構造(チームの戦略・戦術の最適化)

ダイヤモンド・オフェンスはポジショナルプレーを実践するための戦術であり、ポジショナルプレーの概念は戦略である。戦術とは、実際の試合の局面における相手との戦いであり、相手との相互作用によって引き起こされる即興的な意思決定である。攻撃側の選手の「きっかけのアクション」に、相手がどのようなリアクションをするのかによって、次のプレーの意思決定が即興的に行われる。戦略は戦術と技術の上にあり、どのような哲学や概念の元に試合をするかであり、監督・コーチが責任を負う。

戦術は戦略を実行するための手段であり、相手によって引き起こされた周囲の状況に即時の適応をすることであり、監督・コーチと選手の両方に責任がある。

技術は選手の意思決定の結果であり、選手が責任を負う。ダイヤモンド・オフェンスのトレーニングは、フランシスコ・セイルーロが考案した構造化トレーニングの方法を使用する。構造化トレーニングは「8つの構造」を、トレーニングしたい内容に応じて構造に優先順位をつける。それが「優先シミュレーション状況(SSP)」と言うトレーニング方法である。

選手がトレーニング中、自身の興味や感情を表し、自由にプレーを表現、選択できる環境を設定し、選手自ら能動的に解決策を見つける発見学習の特徴を優先シミュレーション状況は持っている。指導者は、選手に解決策を与えるのではなく、選手自らプレー状況を解決できるトレーニングを構築しなければならない。

選手が自身を教育できるトレーニング環境を指導者は構築する必要がある。優先シミュレーション状況のトレーニングはパターンなどを強制することが目的ではなく、優先シミュレーション状況を通じて、選手の能力を開発することを目的としている。選手は優先シミュレーション状況を通じて、それぞれが異なる解決策をそのプレーの状況において選択し表現する。

優先シミュレーション状況を実行する場合、指導者が望むアクションが頻出する、現在の選手の能力に応じて達成できそうな状況を設定する。選手間で相互作用するプロセスを通じてプレーを開発する状況を設定するのだ。ただし、選手の中には、そのプレーの状況を理解するための知識(戦術)を持たない者もいる。その場合は、プレーオプションをいくつか与え、プレー状況を解決する知識(戦術)を得ることで、選手自らその状況を解決することができるようになる。選手のプレーを制約するのではなく、プレーに選択肢を与え、可変性のある解決策を提示することで選手のプレーを最適化する。

選手のプレーを制約して、例えば、1つのパターンや解決策だけを教える。そうすると、そのパターンが通用しない場合、新たなパターンを指導者が構築しなければならない。このような方法では、選手はパターンが通用しない時の解決策を見つけることが難しくなる。

優先シミュレーション状況(SSP)とは

優先シミュレーション状況は、構造化トレーニングを実践するためのトレーニングメニューである。人間は自己構造化(自ら学ぶ力を持つ)する生物であると考えることから優先シミュレーション状況の考え方は出発している。選手の知識の習得は、自身の興味と必要性に基づいて行動し体験することで生きた記憶としてトレーニング内容が定着する。それは選手がトレーニング内容を理解し、積極的に参加することが前提である。なぜなら選手(人間)は、自らを教育する考案者であるからだ。

優先シミュレーション状況の指導者が考慮するポイント

●発見学習(選手自ら解決策を発見することができるような質問)
●体験学習(試合の状況を設定したトレーニングを体験し、選手がプレーを成功することで学ぶ)
●暗示的学習(直感的、無意識的行為、身体で覚える「手続き記憶」でプレー状況を解決する)
●非介入主義(選手自ら解決策を発見させるために、できる限りトレーニングを止めないようにする。質問も最小限にする。プレー時間を長くする)

出典:『ダイヤモンドオフェンス サッカーの新常識 ポジショナルプレー実践法』坂本圭

『ダイヤモンドオフェンス サッカーの新常識 ポジショナルプレー実践法』
著者:坂本圭

日本ではまだ珍しいサッカー攻撃の概念・ポジショナルプレーを取り入れた戦術書!!スペインのプロチームでコーチライセンスを獲得した著者が、サッカーを勉強したい学生や指導者、日本式ではなく世界のトップシーンで導入されている新しいサッカーの攻撃方法を実践したいと思っている方々のために、ポジショナルプレーを実践するための方法としてダイヤモンドオフェンスを伝授します。

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