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パフォーマンスを最適化する為にダイヤモンド・オフェンスの鍵となる要素とは!?【ダイヤモンドオフェンス】

Text:坂本圭

社会的感情構造(チームの戦略・戦術の最適化)

●社会的感情構造3つの異なる側面
フランジスコ・セイルーロのコンセプトを解釈したもの(ダニエル・ボカネグラ・カマーチョからの引用)


●個性と異文化性を考慮したパフォーマンス
人間は1人1人それぞれが異なり、個性を持ち、異なる文化背景を持っていることを考慮する。「共感」と「アサーティブネス(自他を尊重した自己表現)」は、対人コミュニケーションの社会的スキルであり、サッカーの試合やトレーニングにおいて、言語と非言語(ジェスチャーなど)によるコミュニケーションの具体的な手段として活用できる。監督やコーチは非言語的な選手(あまり話さない選手)をもっと頻繁にトレーニングに参加させるために、より多くの言語の手段を確立しなければならない。「共感」と「アサーティブネス(自他を尊重した自己表現)」は、互いに補完し合うので、選手間の衝突や争いを取り除くことができる。このように考えると社会的感情構造はチームスポーツのパフォーマンスを最適化するために非常に重要であることがわかる。

例えば、大観衆の前でプレーをする場合、声でチームメートに指示することが難しい場合もある。そのような場合はジェスチャーが有効であろう。フリーキックなどのセットプレーではサインプレーや近くの選手と小声で話すことが有効な場合もある。このようにサッカーの試合環境や状況によって︑どのような言語手段を使うのかも考慮する。チームスポーツであるサッカーは個人だけが学習するのではなく、チームが学習しなければ、組織的なプレーはできない。チーム内の互いの選手の意見にじっくり耳を傾ける必要がある。なぜなら非常に複雑なスポーツであるサッカーは、1人が考えるよりも、チームで考えることでより良いアイディアが得られ、選手個々の能力を引き出し、チーム力をアップさせるからだ。

サッカーは何人かの優れた選手だけが目立つのではなく、優れたチームになることが必要なスポーツだ。優れたチームの選手は、個々の選手は自発的でありながら協調的に行動する。優れたチームの選手はチームメートを意識し、互いの行動を補うように行動することで信頼関係を築いている。そして、優れたチームは互いに教えあうことで、学び合い、チーム力が増していく。

ダイヤモンド・オフェンスの鍵となる要素は、社会的感情構造の優位性を獲得することである。チーム内の全ての選手が長い時間をかけてトレーニングや試合を通じて選手間の関係性を構築し、ある選手の「きっかけのアクション」からボール保持者の近くにいる選手が「きっかけのアクション」を起こした選手の意図を読み、次のアクションを起こしいく。

トレーニングや試合においての生きた経験が、選手間の互いのプレーを直感的に理解することに繋がる。選手が無意識レベルでプレーをすることによって、選手間で相互作用し、自己組織化される。その結果として創発が発生する、それが即興プレーであり、ダイヤモンド・オフェンスである。

●共感(コミュニケーション)
自己と他者は感情・考え方が違うということを前提に、他者の考えを知ることで、お互いが必要としていることを探る。

●アサーティブネス〈自他を尊重した自己表現〉
個人の感情や思考を誠実な方法で表現し、他者の心を傷つけず、その目標に達する行動である。相手の感情や考えを受け入れ自分に対しても、相手に対しても「誠実」に、人間として「対等」に接する(上下関係があったとしても)。自身の感情や考えを言うときは、誰かの意見に左右されず、忖度せず、率直に自分の考えをはっきりを言う。自分のコミュニケーションによって生じた結果は自分で引き受ける「責任」がある。これが「アサーティブネス〈自他を尊重した自己表現〉」である。

出典:『ダイヤモンドオフェンス サッカーの新常識 ポジショナルプレー実践法』坂本圭

『ダイヤモンドオフェンス サッカーの新常識 ポジショナルプレー実践法』
著者:坂本圭

日本ではまだ珍しいサッカー攻撃の概念・ポジショナルプレーを取り入れた戦術書!!スペインのプロチームでコーチライセンスを獲得した著者が、サッカーを勉強したい学生や指導者、日本式ではなく世界のトップシーンで導入されている新しいサッカーの攻撃方法を実践したいと思っている方々のために、ポジショナルプレーを実践するための方法としてダイヤモンドオフェンスを伝授します。