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言い訳が成長を邪魔する!どんな選手にもチャンスを与える指導法とは!?【東農大オホーツク流プロ野球選手の育て方】

Text:樋越勉

選手の育て方

私は〝えこひいき〟が好きだ。必要なことだと思っている。「大切に育てなければいけない選手」もいれば、玉井のように「どんどん使っていった方がいい選手」もいる。例えばリーグ戦後半に向けて大事に使わなければいけない選手もいれば、開幕からガンガン投げて貰わないといけない選手もいる。でも、そうやって使っているうちにだんだん良くなって、そのままチャンスを掴んでいく選手もいる。

昔はエリートの選手しか使ってもらえないという事例は多かったが、私はそれをしない。起用や出場機会に不公平はあったとしても、結果さえ残せば、しっかりと試合で使ってきた。一方で、えこひいきや不公平、不条理は世の中にはある。一人も味方がいないような状況に追い込まれることだってある。そんなことで文句言っていたらダメ。

野球も傷の舐め合いをしていてはダメなんだ。プレーをカバーするのは大事だが、言い訳をしあっていたらチームは強くならない。今、世田谷のチームはまだ言い訳が多い。言い訳が、成長を邪魔している。

 

この原点は私の学生時代にもあるだろう。球拾いばかりだったし、一生懸命やっても認められなかった。それでも合宿所の横のティーバッティング場で、どんなことがあった日でも、そこで500本打ってから寝るようにしていた。ノックに入れてもらえないから、体育倉庫の壁で壁当てもしていた。ライトはわずかで薄暗い中なので、倉庫の中にあった石灰をボールにつけて、それこそ何百球も投げて、捕ってを繰り返した。

先輩には「お前なんかいくらやったって上手くならねえよ」と馬鹿にされていた。 だけど、2年の時にたまたま守備要員でベンチに入れてもらい、運良く打席が回ってきた。そこで思いきってバットを振ったら、ネットの最上部に当たるような特大ホームランを打てた。
「努力すれば、ホームランも打てるようになるんだ」それが、私の原点。今でも忘れない。

努力は認めてもらえなくても、やると決めたことをやり続けた。周りをエリートの選手に囲まれながら一般受験を通って入ってきた私には、そうやって生き残った自負がある。うちの子供たちには「言い訳をするな」「へこたれるな」と常に言っている。そういう面では網走の子の方が覚悟決めて来ているから言い訳はしないし、へこたれない。

一方で、私が学生時代に壁当てをしていた時に、近くで同じ音がするので見てみると、甲子園にも出ていて、チームでもレギュラーだった同い年の福地日出雄(東農大前監督)が私と同じく壁当てをしていた。才能ある選手がこれだけやるんだから、そういう選手は本物のエリートだろう。彼は大学卒業後に社会人野球に進み、そこでも活躍した。

そんな差を痛いほど痛感した学生時代だったが、諦めず最後まで続けられたのは、やはり母の存在があったからだ。プロ野球選手になれるような才能は無かったが、私が幼い頃に親父が亡くなり、女手ひとつで育ててくれた恩返しをしたかった。親父は野球がとても好きで、私も野球をやらせてもらっているからには、大学でもユニフォームを着ているところを1回でも見せてあげたい。その一心だった。

出典:『東農大オホーツク流プロ野球選手の育て方』著/樋越勉

『東農大オホーツク流 プロ野球選手の育て方』
著者:樋越勉

多くのプロ野球選手を輩出する北の最果て、北海道網走市にある東京農業大学オホーツクキャンパス野球部。恵まれた施設環境ではないにも関わらず、なぜ有力選手が育つのか⁉東農大学野球部のカリスマ、樋越監督の選手を見抜く眼力と、その育成術を紹介‼プロ野球選手の育て方、ドラフトへ送り込む手腕、練習環境の整え方などを、具体的に解説するプロ野球ファンや指導者必見の一冊。愛弟子の周東佑京のコメントも収録。

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