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選手をより成長させる為に「見て見ぬふりも大切」な理由とは!?【東農大オホーツク流プロ野球選手の育て方】

Text:樋越勉

「見て見ぬふりも大切」

選手たちは娯楽の少ない網走での野球に打ち込む生活を4年間するわけだが、だんだんとその中でも楽しみ方を分かってくる。冬であればワカサギ釣り、またある者は目を盗んでスノーボードをやっている者もいた。こちらもそれは承知の上で「ケガだけはしてくれるなよ」というスタンスでいた。

なんでもかんでも目くじらを立ててはいけない。時には「見て見ないふりをしてあげる」ことも大切だ。なんでもかんでも規制をかけてしまうのはよくない。「樋越勉=スパルタ」だとよく誤解されるが、そうではない。自分の元で育った人は「本当はそうではない」とみんな言うと思う。見て見ないふりをできる余裕は作ってあげているつもりだ。全部を追い詰めると良い結果は出ない。どこか逃がしてあげるところを作ってあげないといけない。

卒業した後にOBが「監督さん実はあの時……」なんてよく言うのだが、「それもこれも知っていたよ」と言うと「知っていたんですか?」と驚かれる。「それはそれでお前たちの楽しみだし、お前たちの息抜きでもあるから」と言う。今の時代はなんでも規制やコンプライアンスという言葉を使っているが、それが手段ではなく目的になって、間違った方向に世の中が進んでいる気がする。一人ひとりの子供が力を伸ばし育んでいくためには怒るだけではなく、自由も必要だ。

 

もちろん、この場合の自由とは「好き勝手にやっていい」ということではない。ある程度の自分たちの規制・ルールを守った上でやらなければいけない。その中でいかに楽しむかで人間の想像力は豊かになっていくはずだ。昔は悪ガキが好き勝手に遊んでいた。花瓶を割ってしまって、近所の怖いオヤジさんに怒られてよく謝りに行っていた。そんな経験をしていくうちに、大人になると何がダメだったか気付けるようになるのだ。

それが今は、「危険だからやってはいけない。責任を取れないからやってはいけない」と、なんでもかんでも最初から「ダメ」と言われてしまう。このような状況では何も育たない。そのくせ注意しないといけないところで注意もせずに、見て見ないふりをする大人が多すぎる。だから変な事件が起きるのではないか。大人が責任をもっと持つべきだ。その中で子供たちを自由に寛容に育てる必要がある。

出典:『東農大オホーツク流プロ野球選手の育て方』著/樋越勉

『東農大オホーツク流 プロ野球選手の育て方』
著者:樋越勉

多くのプロ野球選手を輩出する北の最果て、北海道網走市にある東京農業大学オホーツクキャンパス野球部。恵まれた施設環境ではないにも関わらず、なぜ有力選手が育つのか⁉東農大学野球部のカリスマ、樋越監督の選手を見抜く眼力と、その育成術を紹介‼プロ野球選手の育て方、ドラフトへ送り込む手腕、練習環境の整え方などを、具体的に解説するプロ野球ファンや指導者必見の一冊。愛弟子の周東佑京のコメントも収録。

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