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山岡泰輔や山本由伸が好例の速い球を投げる為に重要な4つの要素とは?【革新的投球パフォーマンス】

Text:高島誠

4つの要素を高めて出力を上げる

速い球を投げている投手は、例外なく高い出力を備えています。高い出力を発揮するために必要な要素は、「柔軟性」「身体操作性」「筋量」「筋出力」。これらをバランスよく身につけていくことが重要です。

投球フォームを改善すれば球の質がよくなると考えている人がいますが、投げ方を変えるだけでは質の高い球を投げられるようになりません。柔軟性、身体操作性、筋量、筋出力を全体的に高めていくことで、〝結果的〟に投球フォームはよくなります。ピッチングの〝形〟ではなく、投手として〝器〟を大きくすることを追求しましょう。

どうすれば投球時の出力を高めることができるか、弓矢にたとえると理解しやすいと思います。小さい弓の場合、そもそも弦をあまり引けません。大きい弓の方が、物理的に弦を大きく引くことができます。


弓矢をピッチングにたとえると、弓の大きさが筋量。筋量が増せば増すほど、弓が大きくなります。

弦を大きく引けることが柔軟性。身体の可動域が増すようなイメージです。そして弦の強さ(太さ)が筋出力。使い古されたゴムのように弦が弱いと、大きく引くことはできません。

弓自体が小さく、弾力が弱い弦を引いた場合、矢が飛んでいくスピードには限界があります。弓が小さいのに矢のスピードを上げようとすると、無理やり弦を引くしかありません。

ピッチングでも同じことが言えます。筋量の足りない投手が速い球を投げようとすると、上体をひねりすぎたり、腕をしならせようと内側に入れすぎたり、どこかで無理が生じます。そうした身体の使い方をすると、故障の要因になりかねません。速いボールを投げるには弓を大きくし、弦の強さをつけながら、柔軟性を高めていくことが重要です。

筋出力というのは、身につけた筋量をいかに力として出し切れるかです。筋量をつけるだけでは、ピッチング時の高い出力にはつながりません。

例えばボディビルダーは一定以上の筋量を身につけていますが、出力系のトレーニングをしなければ、運動時に生み出される力は最大化されません。彼らのように筋肥大が目的なら筋出力を気にしなくてもいいですが、投手にとっては力のある球を投げることが重要です。身につけた筋量を力として最大限にボールに伝えるためには、トレーニングで筋出力を高めていくことが必要になります。

柔軟性、身体操作性、筋量、筋出力は、投球パフォーマンスにおいて相関関係にあります。図のように、4つの要素から構成される正方形をイメージしてください。仮に柔軟性だけが弱い場合、その弱さに残り3つの要素はマイナスの影響を受け、せっかく高めた身体操作性、筋量、筋出力は十分に発揮されません。柔軟性の弱さが足を引っ張り、投球時の出力が弱くなってしまいます。極端な言い方をすると、高い3つの要素は「宝の持ち腐れ」になるのです。


柔軟性を疎かにする野球選手は少なくありませんが、可動域を広げることでより大きな力を埋めるようになります。好例がオリックスの山岡投手や山本由伸投手です。

筋量は多い一方、柔軟性が足りないという投手は、股割りやブリッジなど柔軟性のメニューを重点的に行ってください。誰しも苦手なことは遠ざけがちですが、弱点の柔軟性を克服できれば、一気に投球パフォーマンスが向上する可能性を秘めています。

出典:『革新的投球パフォーマンス』高島誠

『革新的投球パフォーマンス』
著者:高島誠

「高校生なら誰でも140km/hを投げられるようになる」という命題に明確な回答をする超実践本!近年成長著しい広島県私立武田高校で強化メニューを担当するトレーナーの高島誠の下には、山岡泰輔投手や高橋礼投手というプロの投手たちもシーズンオフにトレーニングにやって来ます。高島はどんな指導をして成長に導いているのか。その考え方や練習&トレーニング方法を写真とQRコードで詳しく解説!

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