データから逆算してフォームを探る
ラプソードは投球フォームを固める上でも有効です。例えばストレートを投げて前回は2500回転だったのが、今回は2300回転に下がったとします。本人は同じように投げているのに200回転も落ちたのは、ピッチングに何らかの問題があるということです。
そこでラプソードのデータを見ると、今回はジャイロ成分(進行方向への傾き。詳しくは後述)が多くなっていました。本人はストレートのつもりで投げたのに、カットボールのように変化していたのです。
そうした球を意図的に投げているなら問題ないですが、ストレートのつもりで投げたのにカットしている場合、改善が必要です。握りやフォームに気をつけ、前回と同じストレートを投げられるように試行錯誤しましょう。これをイメージだけで行うのは難しいかもしれませんが、ラプソードとハイスピードカメラを組み合わせて使うことで、感覚を調整しながら自分の理想に近づけていきやすくなります。
以上のように、ラプソードには様々な活用法があります。データを参照しながら、自身の感覚を磨いて投球パフォーマンスの改善につなげていきましょう。そうして複数のピッチトンネルを形成できるようになったり、わざとピッチトンネルから外れる変化球を使えるようになったりしたら、試合で勝てる回数は増えていくはずです。
本章ではラプソードに馴染みのない投手がどのように活用していけばいいのかという「初級編」から、プロ野球投手も実践している「中級編」や「上級編」まで紹介していきます。日本全国にラプソード計測できる施設は増えているので、興味のある方は試してみてください。まずは本章で考え方を知るだけでも、ピッチングへの理解が深まると思います。せっかく今の時代に生まれてきたのだから、テクノロジーをうまく使って〝勝てる投手〟を目指しましょう。
出典:『革新的投球パフォーマンス』高島誠
『革新的投球パフォーマンス』
著者:高島誠
「高校生なら誰でも140km/hを投げられるようになる」という命題に明確な回答をする超実践本!近年成長著しい広島県私立武田高校で強化メニューを担当するトレーナーの高島誠の下には、山岡泰輔投手や高橋礼投手というプロの投手たちもシーズンオフにトレーニングにやって来ます。高島はどんな指導をして成長に導いているのか。その考え方や練習&トレーニング方法を写真とQRコードで詳しく解説!
公開日:2022.01.13