SPORTS LAB
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3つの種類がある筋収縮とは!?

Text:野坂和則

筋収縮には3つの種類がある

筋肉は縮む(収縮する)ときにパワーを発揮します。ただし、そのときにかかる負荷の大きさによって、筋肉が収縮しながらも縮む(短くなる)場合と伸びる(長くなる)場合、そして伸びも縮みもしない(長さが変わらない)場合があります。

例えば、肘を曲げて本を持ち上げるとき、上腕の前側にある上腕二頭筋が収縮します。このとき、本の重さ(負荷)よりも、上腕二頭筋の力のほうが大きいため、筋肉は収縮していき、長さが短くなっていきます。これを短縮性筋活動あるいはコンセントリック筋活動とも言います。

肘を曲げたまま、本を持っているときは、収縮している筋肉の長さが保たれている等尺性筋活動あるいはアイソメトリック筋活動を行なっています。一方、百科事典など重量のある本を片手で持とうとした際、筋力が弱いと重みに耐えきれず、次第に本を持つ手が下がって肘が開いていくでしょう。これは本の重さ(負荷)よりも、上腕二頭筋の力が小さいため、収縮している筋肉が伸ばされていっています。このような筋活動が「エキセントリック」です。仮に軽い本でも、力の発揮を小さくしていくと、筋力よりも負荷が大きくなり、上腕二頭筋が伸ばされていくことになり、エキセントリック筋活動を行なっていることになります。

また、ちょっと混乱するかもしれませんが、曲げている肘を伸ばす動作は、上腕の後ろ側にある上腕三頭筋のコンセントリック筋活動です。したがって、上腕二頭筋のエキセントリック筋活動をするには、上腕三頭筋はリラッ クスさせて、使わないようにしなければなりません。

【書誌情報】
『ゆ〜っくり座れば、一生歩ける!』
著:野坂和則

一生歩ける足腰はゆ〜っくり座ることで鍛えられる!「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命は、男性は約72歳、女性は約74歳です。誰でも歳をとるにしたがって身体機能は衰えていきますが、その衰え方には大きな個人差が。その個人差の要素のひとつが「運動」です 。運動をしている人とそうでない人では、健康寿命に大きな差が出てきます。運動といってもいろいろありますが、健康寿命を高めるには脚の筋力を維持し、向上させる筋力トレーニングが必須です。しかし、そうは言っても普通の筋トレはつらそうだし、なかなか重い腰が上がらない……という方にこそ実践して頂きたいのが本書で紹介している「エキセントリック運動」です。ゆ~っくりイスに座る時、大腿の前側の筋肉は伸ばされていきます。これが典型的なエキセントリック運動です。本書では、自宅でできるエキセントリック運動を紹介しており、どうしてエキセントリック運動が一生歩けるような足腰をつくるのに適しているのか解説しています。試しに、ゆ~っくりイスに座ってみて下さい。それだけでもかなり脚に効いていることがわかるはず。つらくないのに効果は絶大――。エキセントリック運動をすれば、10年分の筋力低下を、たった2ヵ月で元に戻すことも可能です。転ばぬ先の杖、一生歩ける体でいられるように、今日から準備を始めましょう。高齢者の方はもちろん、家族全員でぜひ読んで頂きたい一冊です。