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ヘッドスライディングで起こりうるケガとは!?

ヘッドスライディングのリスク

野球は「投げる」「打つ」「守る」に加えて「走る」技術が求められる スポーツです。

ランナーとして出塁したときには、ベース間をより効 率よく回って少しでも早くホームに戻ってくることが得点につながり ます。

またバッターとして打席に入ったときにも、打った後には一塁 まで走ることになりますが、まれに一塁にヘッドスライディングを試 みるシーンを見かけます。

アピールプレーと称賛されることも少なく ありませんが、これはケガのリスクを伴うものです。

スライディングはタッチをかいくぐる際に効果的な技術

もともとスライディングの技術というのは二塁や三塁、ホームベース上でのタッチをかいくぐる際に効果的な技術であり、一塁への駆け抜けはタッチプレーを必要としないため、トップスピードで走り抜けるほうが早いといわれてきました(ヘッドスライディングの技術が高い場合は駆け抜けるよりも速いという研究報告もあり)。

ヘッドスライディングによるケガとは?

一般的にはグラウンドとの摩擦によるタイムロスや広範囲にわたる擦過傷のリスク増大(特に人工芝)、相手野手のスパイクによる裂傷、突き指や指の骨折、ベースに手をついた際の衝撃で起こる肩の脱臼、頸部や頭部への外傷といったさまざまなアクシデントが想定されます。

なかでも肩関節の脱臼は手をベースについた際に頻繁に目撃するケガの1つです。

腕を横に90度挙げ、その位置で肘を90度曲げて手を上に挙げたガッツポーズの姿勢(肩関節外旋・外転90度)では、肩の後方から衝撃を受けると、肩関節におさまっている上腕骨頭が容易 に前方へと移動し、脱臼しやすくなります。

ヘッドスライディングやランナーの帰塁時などはこのような肢位になりやすく、相手野手がグラブでランナーを後方からタッチしたときや上腕からの介達外力によ って肩関節に大きな力が加わり、脱臼してしまうケースが見られます。

またトップスピードで頭からベースに突っ込むため頭頸部にも大きな衝撃が加わりやすく、相手野手との交錯などが重なると重篤なケガに つながる危険性も高まります。

ケガを誘発する不用意なヘッドスライ ディングは避けるようにしましょう。

【書誌情報】
『基礎から学ぶ スポーツセルフコンディショニング』
著:西村典子(アスレティックトレーナー)

近年、セルフコンディショニングという言葉を聞けば、自分自身で自分の体を良い状態に保つための取り組みであることが理解されるようになってきましたが、やはり、その内容は奥が深く、まだまだ正しい知識が広まっていないのが現状です。そこで、本書では、数々のプロスポーツ選手を指導した経歴を持つ日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーである西村典子氏による環境に頼らず自分自身をアップデートする基礎から学ぶセルフスポーツコンディショニングを3つのパートに分けてわかりやすく紹介。結果を出すアスリートは必ず実践しているコンディショニングは必見です。