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目の前の試合を重視し、最終的には「一番上」へ!千葉ロッテマリーンズ荻野貴司【ラブすぽ独占インタビュー】

Text:花田雪

 開幕から不動のリードオフマンとしてチームを牽引する荻野貴司。今季でプロ12年目、シーズン終盤には36歳になるが「ベテラン」という言葉を使うのがはばかられるほど、衰えぬ技術とスピードを見せてくれている。
 そんな荻野が語る、「1番打者としての役割」「チームの雰囲気」「若手への背中の見せ方」とは――。

今季の良い雰囲気を生んでいるのは 「若手の力」と「若手の勢い」

――後半戦が開幕して、現在チームはパ・リーグ4位。荻野選手自身は打率も3割を超え、盗塁数もリーグ5位(※数字はすべて取材時点)。率直に今季を振り返っていかがでしょう。

荻野 正直、すごく調子が良いというわけではないんですけど、なんとか試合では数字は残せているかなと。ただ、欲を言えば出塁率はもう少し上げていきたいですね。

――チームとしてはまだまだ優勝が狙える位置にいます。

荻野 前半戦はチームにケガ人が出たりした中でも首位とのゲーム差はそこまで離れていませんし、まだまだチャンスはある。ここからが大切になってくると思っています。

――チームの雰囲気はいかがでしょう?

荻野 若い選手がたくさん出てきて、「若手の力」「若手の勢い」をすごく感じています。そんな中で僕らのような経験のある世代の選手がうまく融合して、雰囲気としてはとても良くなってきているなと。

――具体的にはどういうところに「雰囲気の良さ」を感じますか?

荻野 若い選手が変に遠慮することなく、伸び伸びやれているなという印象は受けますね。

――そういう「良い雰囲気」は当然、荻野選手のような経験のある世代の選手たちが上手に空気を作っているからだと思うのですが、そういう意識はありますか。

荻野 意識してやっているわけではないですね。僕自身もそうですけど、若手だから何かを言うとか、そういうことはないので、そこは上手い方向にいっているのかなと。

盗塁の数は気にしない
盗塁王も意識していません!(笑)

――荻野選手自身は今季、開幕から一貫して1番打者を任されています。チームのリードオフマンとして一番意識している部分は?

荻野 先頭で打席に立たせてもらっているので、まずは「出塁する」ことが一番です。ただ、今季は先頭打者の場面で出塁できているケースが少ないので、そこは終盤に向けての課題かなと思っています。

――ここ数年のプロ野球界では「2番に強打者を置く」打線の組み方がトレンドになっています。マリーンズも2番にマーティン選手や最近では藤原恭大選手など、いわゆる「古い2番打者像」とは違ったタイプの打者が座ることが多い。プロ入りから1番を打つケースが多かったと思いますが、後ろの打者によってプレーの意識を変えるようなことはあるのでしょうか。

荻野 マーティン、藤原に関して言えば違いはあまりないですね。ただ、2人とも長打が打てて、ストレートに強いので、僕が塁に出れば(次打者に対して)ストレートが増えるかなとか、そういうことは考えます。なので、後を打つ選手が変わっても僕自身の役割は変わらないですね。

――たとえばマーティン選手、藤原選手とはまた違う、小技が効いてバントも多用するような「オールドタイプ」の2番打者が後ろにいる場合は、役割にも変化はありますか?

荻野 どうですかね……。ただ、長打がある打者が後ろにいる場合は、無理に走らなくてもいいのかなという考えにはなりますね。

――そうなると当然、個人の盗塁数にも影響してきますよね?

荻野 最近は盗塁の「数」はあまり意識しないようにしています。以前よりも失敗数が増えてきているのも事実ですし、今は「行けるときに行こう」くらいのイメージですかね。

――「数」よりも「成功率」?

荻野 今のマリーンズは僕が走らなくても長打一本でホームに返してくれるケースがよくあるので、盗塁に関しては例えば終盤の大事なところでしっかり走るとか、そういう部分で貢献したいなと思っています。

――以前の方が盗塁へのこだわりは強かった?

荻野 もちろん今でもこだわりはあります。ただ、「塁に出たらいつでも走る!」という意識は、以前の方が強かったとは思いますね。

――失敗数が増えてきた、というのは単純にスピードの問題?

荻野 スピードはもちろんですけど、スタートや帰塁時の反応についても、以前と比べると少し遅れているのかなとは感じます。

――とはいえ、それでも今季はリーグ5位の盗塁数を記録。「盗塁数にはこだわらない」との事でしたが盗塁王のタイトルも射程圏です。それでも、意識はしないですか?

荻野 今は全然ないですね……(笑)。

――でも、ファンは期待していると思いますよ?

荻野 ……そうですね(笑)。もちろん、チャンスがあればしっかりと走りたいと思います。

ケガをしてもプラスに考える
“レベルアップ”して戻ってきたい

――荻野選手と言えば、どうしてもプロ入りから「ケガが多い」というイメージがありました。ただ、2019年にプロ10年目で初めて規定打席に到達するなど、30歳を超えたあたりから故障による離脱が減った。この要因はどこにあるのでしょう。

荻野 これまでやってきたトレーニングの積み重ね、あとは試合後も含めた体のケア。練習よりもケアの方にしっかりと時間を割くようになったのは大きいかもしれないです。

――荻野選手の「ケガ」は、たとえばスライディングの際であったり、守備中のものであったり、いわゆる「アクシデント」「不運」に起因するものが多かった印象を受けます。そういう「防ぎようのない」ケガが続くと、どうしてもメンタルが落ち込んだり、辛い時期も多かったかと思うのですが、いかがでしょう。

荻野 (ケガをした)直後は、やはり落ち込みます。ただ、どちらかというとプラスに考えることが多かったですね。休んでいる間でもレベルアップできることはあるし、すぐにそういう方向にメンタルを切り替えて、「次に復活するときは、今よりも上の技術を身につけて戻ってくるんだ」という思いで取り組んでいましたね。

――そういう「ポジティブさ」「前向きなメンタル」はどこからくる?

荻野 もともとはそこまでポジティブではなかったですけど、(ケガをしても)逆にワクワクするというか、楽しみになる部分もあるので。ただそういうメンタルになれたのは、プロに入ってケガが重なるにつれて、少しずつ……ですかね。

――プロではケガも含めていろいろな経験を重ね、今季で12年目。シーズン終盤には36歳を迎えます。若手の多いチームの中で自分が引っ張っていこうとか、リーダーシップを取らなければとか、そういう「自覚」はある?

荻野 あまり言葉で引っ張っていくようなタイプではないので、プレーする姿を見せて若い選手を引っ張っていければと考えています。特に去年、チームに鳥谷(敬)さんが入ってこられて、僕自身も意識は変わったと思います。鳥谷さんは今年で40歳ですけど、練習量は若手と変わらないし、試合前の準備もすごいので。刺激を受けていますし、鳥谷さんみたいになりたい、若手からああいう風に見られたいなとは思いますね。

――チーム内に、期待する若手選手はいますか?

荻野 やはり、同じ外野手は気になります。マリーンズには藤原、髙部(瑛斗)、和田(康士朗)みたいに足の速い選手が揃っていますし、彼らを見ているとやはり、期待もするしワクワクもしますね。

――では最後に、シーズン終盤に向けて意気込みをお聞かせください。

荻野 ひとつひとつ上の順位を目指してやっていくためには目の前の試合が大切です。まずは1勝、それを積み重ねて最終的には一番上にいられるように、全員でやっていきます!

――ありがとうございました!

収録:2021年8月18日
協力:千葉ロッテマリーンズ

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