高卒3年目となった今季はオープン戦から好調をキープし、開幕戦に「5番・指名打者」としてプロ初スタメン・初出場。シーズン通して78試合、打率.207、9本塁打、20打点と来季以降へのさらなるブレイクへ、「キッカケ」の1年となった山口航輝選手。マリーンズ期待の若き大砲候補に、一軍でつかんだ手ごたえ、痛感した課題、気になる“ライバル”の存在まで、存分に話を伺いました!
プロ初出場が開幕スタメン!
でも……「正直4番も打ちたかった」
――3年目の今季は一軍デビューも飾り、しっかり結果も残せた1年だったように思えます。改めてこの1年間を振り返ってみてください。
山口 まず去年、一度も一軍に上がることが出来ずに、本当に悔しい思いをしました。なのでオフから「来年は絶対に一軍でやってやるぞ」という強い気持ちを持ってキャンプ、オープン戦と過ごしたつもりです。その中で、しっかり自分のバッティングも出来て初めての開幕一軍、開幕スタメンをつかめたのは、とてもよかったと思います。
――自分自身、昨季と比べてどこに成長を感じましたか?
山口 オフにしっかり体を鍛えて、良い状態でキャンプを迎えることが出来ました。体が強くなったことで打球にも力強さが出たと思います。
――「やれるぞ」という手ごたえもあった?
山口 「やってやるぞ」という気持ちしかなかったですし、実際にそれだけやったつもりだったので、自信はありました。
――一軍初出場が開幕戦、しかもクリーンアップでのスタメン出場でした。
山口 前の年のことを考えると想像もできないことだと思うんですけど、しっかりとアピールできた部分と監督を含めて首脳陣の方々がチャンスをくれたおかげだと思っています。
――開幕スタメンはどのタイミングで知ったんですか?
山口 開幕戦当日にホワイトボードに貼り出されているのを見て知りました。
――オープン戦はずっと4番で起用されて、開幕戦でも「4番を打ちたい」という気持ちもあったのでは?
山口 ……はい、正直ありました(笑)。でもオープン戦の後半にかけて調子を崩してしまったので、そこは来季に向けての課題だと思っています。
――シーズン全体を振り返ると、調子が良い時期、悪い時期もあったと思います。1年間プレーして「課題」と感じた部分は?
山口 自分の持ち味は「思い切りの良さ」だと思うんですけど、シーズン中にはどうしてもマイナス思考になってしまって、チャンスをつぶしたくない、三振したくないという思いからバットを振れなくなった時期がありました。メンタル面で、「弱かったな」という反省はあります。
――1年間一軍で戦い抜くうえで、心身ともに疲労もあったのでは?
山口 どうしても緊張する場面が多いので、精神的にしんどい時期はあったんですけど、後半戦に入ってからは少し慣れてきました。肉体的な部分では「まだやれる」という自信も持つことが出来たので良かったです。
試行錯誤を繰り返してつかんだ
新・打撃フォーム改造で覚醒!
――今季から打撃フォームを「すり足」ではなく「足を上げるフォーム」に変えましたが、その“意図”を教えてもらえますか。
山口 昨年のフェニックスリーグで「何かを変えないと上ではやれない」という思いからいろいろなことを試しました。どうすればもっと打球が飛ぶのか、強い打球を打てるのかと試行錯誤して、辿り着いたのが「足を上げる」というスタイルでした。
――シーズン中も、足の上げ方や打席での立ち位置など、けっこう変えていませんか?
山口 はい、特に足の上げ方は前半戦と後半戦で全然違うと思います。
――シーズン中に何かを「変える」ことは勇気もいるし、当然リスクもある。そこに「怖さ」はない?
山口 全くなかったですね。前半戦は結果も出ていなかったですし、何かを変える必要は感じていたので。一流の選手の中には自分の「型」を持ってそれを変えずにプレーする方もいると思いますが、僕はまだそのレベルではないので。
――足を上げるフォームに変えたことも含め、やはり「長打」は山口選手の持ち味。その中で、今季の本塁打9本という結果はどうとらえていますか。
山口 もうちょっと打てたんじゃないかなという部分はあります。ただ、去年のことを考えたら少しは出来たのかなとも思いますね。
――「もうちょっと」というのは具体的にどういう部分?
山口 甘いボールをとらえきれない場面もあったので、そこの確率を上げればもう少しホームランの数も増えるんじゃないかなと思います。
近い世代のライバルの中でも
一番負けたくないのは吉田輝星
――安田尚憲選手、藤原恭大選手、佐々木朗希投手と、近い世代の「ドラフト1位選手」が一軍で成果を見せ始めています。彼らは山口選手にとってどんな存在ですか?
山口 みんなすごい選手なのはわかっているし、自分がまだまだなのも理解していますけど、「絶対負けたくない」という思いは常に持っているつもりです。
――たとえば昨季終盤、同期の藤原選手が一軍に上がって活躍しました。「悔しさ」と「応援したい」気持ち、どちらが強かった?
山口 どちらも、ですね。すごいなと思って見ている部分もありながら、自分は一軍に上がれずに、寮で試合を見ていたので、「悔しい」という思いと……。
――でも、その悔しさが今季につながった。
山口 それは間違いなくあると思います。
――秋季練習でもかなり追い込んでいますよね?
山口 振る量はめちゃくちゃ多かったと思います。やっぱり結果が出ていないのでそういう練習が増えるのは当たり前。秋の段階から来年につなげていかないといけない。
――あまり、体を休めようという意識はない?
山口 体は動かすと思います。オフの時期もまたトレーニングをして、体も一回り大きくして帰ってきたいと思います。
――来季は高校の後輩でもある風間球打投手がソフトバンクに入団。日本ハムには同学年で高校時代にしのぎを削った吉田輝星投手もいて「秋田勢」がプロ野球界を盛り上げてくれる予感があります。
山口――もちろん「秋田」で盛り上げられればいいですけど……ただ、吉田には絶対に負けたくないですね。
――高校時代、夏の秋田大会決勝で2年連続対戦している「ライバル」は、やはり意識しますか?
山口 めちゃくちゃ意識しています(笑)。プロにはすごい投手がたくさんいますけど、一番対戦したいのは吉田です。早く一軍の舞台で対戦したいという楽しみがあります。
――プライベートな交流はある?
山口 連絡は良く取ります。そこでも「早く一軍で対戦したいな」という話はしますね。
来季は鈴木誠也さんの4年目を
超える30発が目標です
――昨春、鈴木誠也選手からアドバイスをもらったという報道がありましたが、具体的にはどういう形で連絡をもらったんですか?
山口 先輩の三家さん(和真・現スカウト)につないでいただいて、直接お会いしたわけではないんですけど、アドバイスをもらいました。
――同じ右打者として、やはり鈴木誠也選手のようなバッティングスタイルを目指していきたい。
山口 プロに入って、鈴木誠也さんが最初につけていた背番号51をもらって、チームからも「鈴木誠也さんのようになってほしい」と言われました。すごいバッターですし、少しでも近づけるように努力していきたいです。
――その鈴木誠也選手は高卒4年目で「神ってる」の流行語を生み、29本塁打を放って大ブレイクしました。山口選手も来季はその4年目を迎えるわけですが、最後に目標、抱負を教えてください。
山口 大きく言えば、鈴木誠也さんの4年目を超える30本です。少なくとも20本は打ちたいと思っていますが、もちろん本塁打だけでなく打率も残せて、チームに貢献できるような打者になりたいと思っているので、応援よろしくお願いします!
収録:2021年11月25日
インタビュー及び記事執筆:花田雪
協力:千葉ロッテマリーンズ
公開日:2021.12.06