インド神話の神々と世界観
「神様の国」インドの人々にいまも息づく神々
インドを訪れると、街のあちこちに、色彩豊かな神様の図像があふれていることに驚くことでしょう。
これらの神々は古代から3000年にもわたり、伝えられてきた壮大なスケールの神話に登場する神々です。なんとその数は3億3000万にも及ぶといわれています。
紀元前、ドラヴィダ系民族がインダス川流域に文明を築き、その後、アーリア人がインドへ侵入。アーリア人は自然崇拝にもとづく神々を崇拝し、司祭バラモンが祭儀を執り行ないました。やがて、バラモン教を土台に仏教などを取り込んで、ヒンドゥー教が成立。
インド神話の神々は、主にこのヒンドゥー教の神様。そして、経典はバラモン教の聖典ヴェーダとヒンドゥー教の叙事詩ラーマーヤナ、マハーバーラタに大きく二分され、それぞれ主神が異なります。
今現在も、インドの人々はガンジス川で沐して身を清め、それぞれが信じる神々への祈りを忘れません。
信じる神によってシヴァ派、ヴィシュヌ派と分かれたり、シーンによって祈る神を変えたりとフレキシブルですが、神々への信仰が生活のペースにあります。これが、インドが「神様の国」と呼ばれるゆえんでしょう。
※ヴェーダ紀元前1200年頃に集成された最古のバラモン教の聖典群。神々への賛歌や祭儀が記されている。リグ・ヴェーダなど4種ある。主神は雷神インドラ。
インドの神々の相関図
神族
- 創造神:ブラフマー
- 芸術・学問の神:サラスヴァティ
- 天然痘の女神:シータラ
- 破壊神:シヴァ
- ブラフマーの孫娘:サティ
- 魚の目を持つ女神:ミーナークシー
- 山の神の娘:パールヴァティ
- 軍神:スカンダ
- 知恵と学問の神:ガネーシャ
- 雷神・『ヴェーダ』系神話の主人公:インドラ
- 富と幸運の女神:ラクシュミー
- 維持神:ヴィシュヌ
- 王族の娘:シータ
- 『ラーマーヤナ』主人公:ラーマ
- 『マハーバーラタ』英雄:クリシュナ
魔神族(アスラ)
インド神話で神々と対立。悪魔、魔神とも訳される。もともとは悪の存在というよりも、系統の異なる神々のことを指す。
半神族
- 猿頭の神:ハヌマーン
- 10の頭を持つ魔族の王:ラーヴァナ
バラバラの死体からできたカースト
神々がプルシャという巨人を供儀のために殺し、その体は刻まれた。目は太陽、息は風となり、また、カースト(階級制度)も生まれたという。
- 目→バラモン(司祭)
- 腕→クシャトリヤ(貴族)
- もも→ヴァイシャ(庶民)
- 足→シュードラ(奴隷)
原初は水から
水が苦行して黄金の卵が生まれ、その卵を創造神ブラフマーが割った。ブラフマーの心から生まれた聖者プラジャーパティから地・空・天が創られた。ちなみに、ブラフマーは日本では梵天となる。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』監修:鈴木悠介
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』
監修:鈴木悠介 日本文芸社刊
「全知全能のゼウスはどんな神?」「キレやすい海の神ポセイドン」「アフロディーテは魔性の美女」「知的な最高神オーディンとは?」人気コミックやゲームなどでも注目度が高い「世界の神々」。世界の神話に登場する神々の性格とストーリーをわかりやすく紹介します。
ゼウスとオリュンポス12神、オーディン、ロキ、トールなど、個性的魅力あふれる神々のキャラクターやエピソードのほか、武器、能力にもフォーカス。ギリシャ神話、北欧神話、ケルト神話、エジプト神話、インド神話など、知っておきたい世界の神々の特徴がよくわかります。さらに、それぞれの神話の壮大な世界観やストーリーの背景もくわしく解説。イラストや図解も豊富に交え、多角度からさらに楽しく知るための一冊です。
公開日:2025.02.17
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