ガラパゴス諸島の巨大タンポポ
自然は想像をはるかに超える現象をよく見せる。その証拠のひとつが写真の「樹木」。どう見ても木にしか見えないが、何を隠そう、これは巨大なタンポポなのだ。赤道直下、太平洋の絶海の孤島群、ガラパゴス諸島のサンタ・クルス島の高地の傾斜地に自生しているスカレシアというキク科の植物で、森林を形成している。
おそらく太古に、南米大陸から草本のタンポポの種子が鳥、貿易風、 海流などによって散布され、島に根付いたのかもしれない。島は海洋で隔離され、人間も競争する植物もいなかったため、タンポポはのびのびと巨大化したのだろう。ダーウィンも注目したが、離島で木本として成長した例だ。
種子は1年で約4mの低木となり、2年もすると花を咲かせ実をつけ、成長すると15mにもなる。寿命はおよそ25年。ふつうのタンポポは多年草だが、それにしても長寿命だ。エルニーニョ現象のときは、多雨となり立ち枯れてしまうこともあるが、すぐに種子が芽吹くという。しかし現在、絶滅の危機にある。
スカレシア(キク科)
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』監修:稲垣栄洋
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』
監修:稲垣栄洋
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監修は、植物学者・静岡大学教授の稲垣栄洋先生!
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公開日:2025.02.22
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