「90分の倍数」の睡眠がベストとは限らない
どうすれば、「すっきり」「気持ちよく」目覚めることができるのでしょうか。
睡眠の状態には、ノンレム睡眠(脳も体も眠っている深い眠り)とレム睡眠(脳は起きているが体は眠っている浅い眠り)があります。起きやすいとされるのは、レム睡眠とその前後の浅いノンレム睡眠のときです。
一方、深いノンレム睡眠のときに起こされると、頭がボーッとしてしまうなど、目覚めがよいとはとてもいえません。
睡眠中は、ノンレム睡眠とレム睡眠が交互にくり返されています。睡眠周期(スリープサイクル)は、ノンレム睡眠のはじまりからレム睡眠の終わりまでを1回(1周期)として数え、その長さは約90分とされています。
つまり、「90分の倍数で起きれば、目覚めがよい」という説は、90分周期で出現するレム睡眠に起床のタイミングを合わせると、すっきり目覚められるはず、として広まった考え方です。
しかし、睡眠周期は80〜120分と個人差があるうえに、健康状態などで睡眠パターンそのものが乱れることもあり、90分の倍数がいつも1周期にあたるとは限りません。
また、目覚めが悪いのは睡眠不足や、概日リズム睡眠・覚醒障害などの睡眠障害によって、明け方にも深い睡眠が出現している可能性が高いとも考えられるのです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 睡眠の話』 監修:西野精治
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 睡眠の話』
監修:西野精治
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公開日:2021.06.04