子どもの血液型はどうやって決まる?
血液型を遺伝子型で考えると明快
私たちの血液型も、遺伝の仕組みがわかりやすく現われる例のひとつです。血液型にはA型、B型、AB型、O型の4種類があり、親と同じ血液型の子が生まれやすいという話は聞いたことがあるかと思います。
この血液型にはA、B、Oの3つの遺伝子が関与していて、「AA」や「AO」のようにふたつの遺伝子がくっつくことで血液型が決まります。AAやAOならA型、BBやBOならB型、ABならAB型、OOならO型です。A遺伝子とB遺伝子は優性、O遺伝子は劣性で、優性の遺伝子が血液型となって現われます。
22ページで述べたように、親の持つ遺伝子のうちどちらか片方が子に受け継がれますから、たとえばA型(AO)とB型(BO)という遺伝子型の両親からは、A型(AO)、B型(BO)、AB型(AB)、O型(OO)の4通りの子が生まれることになります。一方、同様にA型とB型の両親でも、遺伝子型がAAとBBだった場合は、子はAB型(AB)しか生まれません。このように遺伝子型で考えると、子に伝わる血液型がわかりやすいでしょう。
なお、血液型はA遺伝子由来のA抗原とB遺伝子由来のB抗原のどちらを持っているかを表わしたもので、違う抗原の血液を輸血すると免疫反応により重篤な症状に陥る危険があります。
血液型と遺伝子の関係
● 血液型に関わる遺伝子
A遺伝子… A型糖転移酵素をつくる。この酵素は血液中にA抗原をつくる
B遺伝子… B型糖転移酵素をつくる。この酵素は血液中にB抗原をつくる
O遺伝子… 上記酵素を作らない
● 遺伝子型と血液型
血液型は、一般的には血液中のA抗原とB抗原の有無によって判定される
・A抗原だけ持っている…A型
・B抗原だけ持っている… B型
・A抗原とB抗原の両方を持っている…AB型
・A抗原もB抗原も持っていない…O型
親から子への血液型の遺伝
● 例1 A型(AO)とB型(BO)の両親の場合
※()内は遺伝子型
● 例2 A型(AA)とB型(BB)の両親の場合
※()内は遺伝子型
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』著:安藤 寿康
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
監修:安藤寿康
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公開日:2024.11.05