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期待される量子コンピュータはまだ開発途上だ!【眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話】

Text:久富隆佑、やまざき れきしゅう

期待される量子コンピュータはまだ開発途上だ!

2019年、「量子超越性」が実験的にデモンストレートされ、世界で最速のスパコンが1万年かかる計算を量子コンピュータが200秒で解いたと発表されました。2023年3月には理化学研究所などの共同研究グループによって国内初の量子コンピュータがクラウド上で公開され、「重ね合わせ」や「もつれ状態」といった量子力学特有のふしぎをうまく使った新たなコンピュータがお披露目されました。量子コンピュータの「得意な計算」では、これまでのコンピュータより圧倒的な計算力があるわけです。量子コンピュータの開発には世界的なIT企業が参入しています。GoogleやIBM、Microsoft、Intel、日本でもいくつもの企業が開発に着手しています。

量子コンピュータにはさまざまな種類があります。イオントラップの利用や超伝導量子回路、半導体量子ドット、光、冷却原子などのハードウェアですが、まだどの種類が最良かは決定していなくて、各研究チームがしのぎを削っている段階です。現在、小規模の量子コンピュータは開発されていますが、これはある意味4桁目くらいまでの計算が可能な電卓ができたようなものです。もちろん、計算機としては使えるのですが飛び抜けたものではなく、まだまだ伸びしろがあるのです。

現在、量子コンピュータのチャレンジには2つあって、1つ目は集積化。これはたくさんの量子トランジスタを用意して大量計算を一度にできるようにすること。もう1つは間違えを自分で見つけて直すことです。どんなコンピュータでも多少の間違いをします。これを「確かめ算」のように計算が間違えていないか自ら確認修正ができればいいのですが、まだうまくいきません。

量子コンピュータは実現が熱望されている量子テクノロジーの1つで、可能性は非常に高いのです。中でも新しい薬や新素材の開発、さまざまな社会システムの最適化に使えると期待されています。

量子コンピュータの計算量はすごい!

ふつうのコンピュータ

ふつうのコンピュータ

量子コンピュータ

量子コンピュータ

現在のコンピュータは情報を記憶し計算を行う装置だが、同じような仕組みに量子を加えて性能をアップさせたものが量子コンピュータ。現在のコンピュータは計算を1つ1つ順番にやっていくが、量子コンピュータの特徴の1つにたくさんの計算を並列にできることがある。このような違いを含めた計算原理の違いから短時間で計算が可能となる。

量子コンピュータの課題

量子コンピュータの課題

量子コンピュータの課題には、量子トランジスタを多量に用意して大量計算を可能にするための「集積化」と、必ず生じる計算ミスを自ら確認して修正する「確かめ算」能力の2つがある。
資料:https://www.riken.jp/pr/closeup/2021/20210531_1/index.html

量子コンピュータはさまざまなハードウェアが開発されているんだ。その種類は ●イオントラップ ●超伝導量子回路 ●光回路 ●冷却原子 ●半導体量子ドット などがあるけれど、各々が違う強みを持っているから、どれがいちばんいいかという優位性はまだはっきりしていないんだよ。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話』著:久富隆佑、やまざき れきしゅう

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話』
著:久富隆佑、やまざき れきしゅう


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