ヤブレガサ キク科
通好みの味わいが隠れた人気
低山の薄暗い林床に生えるキク科の多年草。地表に出てきたばかりの閉じた若葉の様子が破れた番傘に見えるためにこの名がついた。山菜として人気のモミジガサにも似ているが、ヤブレガサの葉は柔らかい毛で覆われる。またモミジガサは複数の葉がつくが、ヤブレガサは1~2枚。葉が閉じているときが食べ頃で、開くとすぐに硬くなってしまう。キク科独特の香りが食欲を誘うが、モミジガサと比べると苦みが強く調理の際には水さらしを十分に行うなど、工夫が必要。一方で天ぷらにするとこの苦みが好ましく、モミジガサよりも上だと言う人もいる。
● 採れる場所:里山
キク科独特の香りがある若葉の姿は見間違えない
若い株は1枚、複数年経過した株でも2枚前後しか若葉を出さない。芽出しの様子は非常に独特で、葉を揉んだときに立ち上るキク科独特の香りとともに確認すれば間違えることはない。鮮度が落ちやすく、すぐにエグみが出てしまうので採取後は迅速に調理する。
【出典】『野草・山菜・きのこ図鑑』著:茸本 朗
【書誌情報】
『野草・山菜・きのこ図鑑』
著:茸本朗
本書は、野草好きのYouTuberである著者が「食べたい草」に焦点を当てた異色の山菜図鑑。学者ではない著者が、自分の実体験に基づき、美味しい野草だけを厳選して紹介しています。ありふれた山菜図鑑とは一線を画し、実際に採取しやすく、利用価値の高い草を紹介する実用書として完成。野草採取の初心者にとってもわかりやすい内容で、自然と触れ合い、食べる楽しさを伝える一冊です。
公開日:2024.10.19