腸を守っているのは腹筋などの筋肉
大腸は、食道から始まる消化管の最後となる部分で、盲腸(もうちょう)、結腸(けっちょう)、直腸(ちょくちょう)からなる長さ約1.5メートルの管です。
人体解剖図などでは、大腸が小腸を囲んできれいに収まっているように見えますが、実際の体内では、とても複雑に曲がりくねっていて、大腸と小腸の区別すらつきにくいほどです。加えて、その曲がりかたは人によっていろいろ。まさに「変貌(へんぼう)自在」なのです。
なぜかというと、守られるように骨に囲まれているほかの多くの臓器と違い、お腹にある腸は骨に囲まれていないためです。
私たちが食べたものは、蠕動(ぜんどう)運動といって、食道から直腸までのリズミカルな筋肉の収縮の波によって、口側から肛門側に送られていきます。この運動は、かたい骨でお腹を囲んでしまうと、十分にできなくなるので、代わりにお腹の臓器は腹筋をはじめとする多くの筋肉で囲まれ、守られているのです。
大腸には消化する機能が備わっていない
大腸の役割は、小腸から送られてきた食べ物のかす(消化物)の水分を吸収し、かたい便にすることですが、じつは、その食べかすにはまだ若干、消化されずに残った栄養分が含まれています。
それにもかかわらず、大腸自体には消化能力を備えていません。代わりに、これを分解するのが大腸に住み着いている腸内細菌です。ヒトは、自分の力で消化できない物質を、腸内細菌に処理してもらっているのです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 解剖学の話』
著:坂井建雄 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
順天堂大学保健医療学部特任教授、日本医史学会理事長。1953年、大阪府生まれ。1978 年、東京大学医学部卒業後、ドイツのハイデルベルグ大学に留学。帰国後、東京大学医学部助教授、順天堂大学医学部教授を歴任。医学博士。専門は解剖学、細胞生物学、医学史。専門書だけでなく一般向け書籍まで、著書、監修書を多数刊行。近著書は、『医学全史』(ちくま新書)、『図説医学の歴史』(医学書院)など。
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公開日:2021.12.27