インナーマッスルが呼吸によって鍛えられる
私が推奨する呼吸法は「腹式呼吸」です。名前の通り、お腹を使って呼吸をする方法です。お腹というと、俗に腹筋と言われる腹直筋や、脇腹の筋肉である腹斜筋(外腹斜筋、内腹斜筋)が思い浮かぶことでしょう。呼吸というワードから連想されるお腹関連だと、横隔膜や肋骨付近の筋肉である肋間筋も思い当たります。これらの筋肉も大きく関係しますが、呼吸で刺激されて強化されるものに、腹横筋などのインナーマッスルがあります。このインナーマッスルは、体幹部と言い、体を機能的に動かすために必要な筋肉で、生活していくうえでとても重要な役割を持っています。
まず、体幹部の中核を担う腹横筋は、体を支える機能を持っています。姿勢を保つなど体を安定させることに貢献しているのです。この腹横筋が衰えてくると姿勢保持ができません。姿勢が悪くなると血液循環が滞ります。繰り返し言いますが、血液循環は、健康的な生活を送るためには必須です。ですので、姿勢を保持するための腹横筋は、鍛えていくべき筋肉なのです。
この体幹部と背筋(背骨)は連動しています。背筋も姿勢保持には欠かせません。現代人は、パソコンやスマホを使います。これらの作業が姿勢を悪くする要因の1つなのですが、問題はアゴが前に出ることです。アゴが前に出ると首も一緒に前に出ます。首の骨がまっすぐになるストレートネックというものです。
首は、重たい頭を支える役割があります。構造的に、緩やかなカーブを描いていて、頭の重さを支えるために有利な形状になっています。しかし、このカーブが失われてしまうと、頭の重さを支えきれず、肩こりや背中、腰の痛みを誘発します。ひどくなると「ねこ背」につながるのです。
これらを防ぐには姿勢を良くすることが必要ですが「呼吸」を取り入れると、すべてが解決します。深呼吸をイメージしてください。深く息を吸おうとすると、酸素を体内にいっぱい吸い込むためアゴを上を向けませんか。そして、胸を広げるために背中をピンと張ることでしょう。この呼吸姿勢を取るだけで、姿勢は調整されるのです。
また、姿勢を保持するための筋肉であるインナーマッスルが呼吸によって鍛えられます。姿勢が保持できれば呼吸も深くなります。横隔膜や肋間筋が使いやすくなるためです。呼吸と姿勢保持。これらは相関関係にあると言っても過言ではありません。いつまでも健康的な体を維持するためにも、呼吸は絶対なのです。
出典:『一流が実践する人生を変える呼吸法』著/宮﨑裕樹
【書誌情報】
『一流が実践する人生を変える呼吸法』
著者:宮﨑裕樹
人間が健やかに生きていくうえで大切な呼吸を整えることで、腹横筋、肩甲骨などの体幹部や臓器を活性化し、ストレッチやトレーニングの効果を飛躍的に高めるメソッドを紹介する一冊。一流のスポーツ選手や数多くの芸能人が、実際に取り組んでおり、健康を高めつつ、ストレスを軽減した生き方のヒントがここにあります。
公開日:2021.12.09