こまめに水洗いしてにおいを残してやる
ほとんどの犬は、生まれつき泳ぎが得意。そのため、猫ほど水を嫌いません。とくにコッカースパニエルやレトリバーなどの犬種は水遊びが大好きなので、大型犬でもお風呂へ入れるのは比較的楽です。それに対し、柴犬などの日本犬はお風呂があまり好きではなく、苦労するようです。
ところが、お風呂から出たとたん、床やじゅうたん、ときには庭などで転げ回り、あっという間に体を汚くしてしまう犬がいます。
飼い主は「せっかくきれいにしたのに」と落胆しますが、犬にとって風呂上がりはけっして気持ちいい状況ではありません。それは、シャンプーや石けんのにおいが全身から漂っているため。犬の嗅覚は鋭いため人間にはほのかないいにおいでも、犬にとってはくさくてたまらないのです。
また、犬にとって自分のにおいは身分証明書のようなもの。においがなければ他の仲間に自分が自分であることを伝えられませんから、重大な問題なのです。
そこで、犬は自分のにおいが染みついている床やじゅうたん、庭などで転げ回り、犬にとって大切で快適な自分のにおいを全身につけようとするのです。自分のにおいを取り戻すのが目的ですから、きれいにすればするほど、この行動は激しくなります。そのたびにお風呂に入れるという神経質な飼い主もいるようですが、それではイタチごっこです。
シャンプーをたっぷり使って犬のにおいをすべて消そうとするのではなく、こまめに軽く水洗いしてにおいを残してやると、転げ回る回数は減るはずです。シャンプー後はただちにタオルで体を拭いてやり、ドライヤーで乾かし、犬を自由にさせなければいいのです。
出典:『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』監修/藤井聡
【書誌情報】
『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』
監修: 藤井 聡
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公開日:2021.12.29