アマチュアの飛距離が伸びないのは、振り子運動を追求し続けているから
私はゴルフをはじめてからしばらくの間、スイングは振り子運動だと思っていました。というか、そう教えられたので、クラブを振り子のように動かすイメージでスイングしていました。スイングが振り子運動といわれるのは、長くて先端部が重い道具を使うから。
アイアンはいわずもがな、昔はドライバーでさえ400グラムを超える重さがありました。それゆえ、岡本綾子プロのように、振り子運動を巧みに取り入れた打ち方が主流になりました。先端が重く、特殊なL字型の道具を効率よく操れたからです。
時代は変わり、クラブの軽量化が急速に進みました。また、タイガー・ウッズのようなフィジカルの強さを前面に押し出すアスリートが出現。クラブが相対的にも軽くなったことで、ドライバーショットは300ヤード時代に突入しました。クラブの改良にはさらなる拍車がかかり、各メーカーとも長尺化や慣性モーメントの増大を図るなど、今もバージョンアップに余念がありません。
ところが、恩恵を受けているのはプロだけで、アマチュアゴルファーの飛距離は伸びていません。なぜでしょうか?それは今に至るまで、振り子運動を追求し続けているからです。
では、スイングとは何でしょう?もちろんクラブを振ることです。クラブは斜めの棒ですから、スイングは「斜めの棒を斜めに動かす運動」ということになります。
もちろん、スイングに振り子は不要というつもりはありません。軽くなった道具を振り子運動だけで打つには限界があり、リスキーなスイングになる、ということをお伝えしたいのです。たとえば、振り子運動では位置エネルギーしか使えません。位置エネルギーとは、モノが高いところから落ちるときに生まれるエネルギーのこと。簡単にいうと、このエネルギーを利用してヘッドを走らせるのがスイングにおける振り子運動です。
エネルギーをヘッドの加速度とするならば、落ちてくるポジション(高さ)、振り棒(クラ ブ)の長さ、先端部の重量などに比例して加速度は大きくなります。いずれにしても、振り子運動でスイングするには、位置エネルギーを失わないことが前提になります。
そうなると、いつになってもゴルファーは力を抜いて、ゆっくり動くことに専心しなければなりません。プレッシャーがかかった場面でこれをやるのは困難。プロでさえそうなのですから、一打一打に緊張を強いられるアマチュアゴルファーの方はなおさら。主役は常に位置エネルギーを帯びたクラブで、いつまでたっても能動的にスイングできないことになってしまいます。
【書誌情報】
『世界が認めた究極のシンプルスイング キープレフト理論』
著者:和田泰朗
「キープレフト理論」とは、クラブを体の左サイドにキープして振るということ。クラブのグリップエンドからシャフトがもっと長くのびていて、それが体の左サイドにずっとあるように振るイメージだ。ゴルフスイングは一般的に「振り子運動」ととらえられている。対して、キープレフト理論はスイングを「吊り子運動」を考えている。この動きは寺の鐘を棒でつくイメージだ。振り子運動に比べリストコックやアームローテーションへの意識は不要で、動きがシンプル、再現性が高いスイングといえる。スイングに不安を持つアマチュアゴルファーにぜひすすめたい。本書では、キープレフト理論を写真を多用して徹底的にわかりやすく解説する。なお、この理論の考案者・和田泰朗プロは、会員数3万8000人の世界的ティーチングプロ団体WGTF(World Golf Teachers Federation)の一人で、会員の1%しかいない「マスター」の資格を取得。さらにこの理論が認められて 2019年、WGTFのティーチングプロ・トップ100に選ばれている。
公開日:2020.01.12
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