曽子(そうし)曰(いわ)く、吾(われ)日(ひ)に三(みっ)つ吾(わ)が身(み)を省(かえり)みる。人(ひと)の為(ため)に謀(はか)りて忠(ちゅう)ならざるか、朋友(ほうゆう)と交(まじ)わりて信(しん)ならざるか。伝(つた)えられて習(なら)わざるか。
<訳>曽子(孔子の弟子)がいった。私は一日に三つのことを、反省することにしている。ひとつは、人のために考えて相談にのる際に、真心を尽くしているだろうか。友だちとの付き合いで信義を守っているだろうか。また、しっかりと自分自身が身につけてもいないことを、知ったふりをして人に教えるようなことはしていないだろうかと。
一日の終わりに、それも毎日自分の行いを反省するというのは、やさしいようでその実むずかしいことです。自己中心的な人は、人を傷つけたとしても反省どころか気がつきもしないで同じことを平気で何度も繰り返します。確証のない話を、知ったかぶりをして他の人に話す人というのも困ったものです。最近では、インターネットの掲示板などに本当のような嘘の話を載せて、世を弄(もてあそ)ぶような人がいたりします。
人として、筋の通った生き方を心がけることは勿論ですが、それでも間違ったことをしてしまうことは多々あるものです。
そうしたときには、よく反省をして、二度と同じ過ちを犯さないようにすることがとても重要です。
反省することで、謙虚な気持ちをもつことができます。人生をより善く生きるためには、反省して問題点を改(あらた)め、更なるステップアップを図ることを忘れてはなりません。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 論語』
監修:山口謠司 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
1963年長崎県生まれ。博士(中国学)。大東文化大学文学部大学院、フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現大東文化大 学文学部中国学科准教授。 主な著書に『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)、『日本語を作った男 上田万年とその時代』(第29回和辻哲郎文化賞を受賞。集英社インターナショナル)、『日本語の奇跡〈アイウエオ〉と〈いろは〉の発明』『ん─日本語最後の謎に挑む─』『名前の暗号』(新潮社)、『てんてん 日本語究極の謎に迫る』(角川書店)、『日本語にとってカタカナとは何か』(河出書房新社)、『大人の漢字教室』『にほんご歳時記』(PHP 研究所)、『漢字はすごい』(講談社)、『語彙力のヘソ』(徳間書店刊)、『おとなのための 1 分読書』(自由国民社)など著書多数。
2500年の時を超え、「聖書」と並び読み継がれてきた孔子の言葉を著した『論語』。「人生最高の教え」と賞される、この全20章500余の短文から現代により通じる「珠玉の言葉」を厳選して紹介、図解でわかりやすくまとめた1冊!
公開日:2023.02.04
PREVIEW
仇敵・曹操が颯爽と現れる【図解 三国志】