Sスウィングのテークバックでは、まずアウターシェルが動き出し、それが限界まで達すると、肋骨が右に回り始めます。肋骨が背骨のねじれの限界の17度、右に向き切ると、今度は骨盤が右に回り始めます。その骨盤は、股関節の可動域の限界に達したところで自然と止まります。止まったところがトップ・オブ・スウィングとなるのです。
ここで、下半身のセットアップで最初に述べたことを思い出してください。なぜ、右足の大腿骨を反時計回りに少し回してセットアップしたかというと、骨盤の動きにしっかりとストッパーをかけるためなのです。最初に、右の太ももを反時計回りに少し回して構えてやることで、骨盤が右に回りすぎることがなくなり、トップがいつも同じ位置で確実に止まるようになる。これで再現性が高められるのです。
次に左足のセットアップです。左足はツマ先を約17度開いてセットします。トップで17度、右にねじれた背骨は、ダウンスウィングでもねじれたまま戻ってきて、肋骨に対して骨盤がやや開いた状態でインパクトを迎えます。そのねじれの差の17度分、左ツマ先を開いてセットしておけば、インパクト時に股関節にストッパーがかかり、アウターシェルが一気に追い越していき、クラブヘッドが加速しながら球に当たってくれるというわけです。こうした下半身のセットアップでもっとも重要なのが、骨盤を前傾させておくことです。
ゴルファーのなかには、テークバックで右ヒザが流れるクセの人がいます。でも、よく考えると、ヒザ関節は縦(自分から見て前後)にしか動きません。つまり縦にしか曲がらないヒザが、横に流れることは本来あり得ません。あり得ないことが起こるのはなぜか?
それは骨盤が前傾していないからです。骨盤が地面と平行の状態で右に回転すれば、右のヒザ頭は必ず右を向きます。これはヒザが横に折れるのではなく、骨盤と足首が横に回転するからです。でも骨盤を前傾させておけば、骨盤を右に回転させても、右のヒザ頭は正面を向いたままでいられます。骨盤が縦に回転するからです。骨盤はベルトのバックルが地面を向くくらいの角度で前傾させましょう。
骨盤を前傾させた状態で、テークバックでは右股関節は斜め後方に動かされます。こうすると、スウィング中、背骨の角度は変わりません。テークバックで体重を右に移そうとしたり、ダウンスウィングで左に体重を乗せようと腰をスライドさせたりするのは、背骨のブレを自ら作るだけでまったく無意味です。第一、体重移動は「する」動きではなく、かってに「なる」動きです。自分からやろうとすると、スウィングが難しくなるだけなので、やめましょう。
【書誌情報】
『誰でもできるナイスショットの絶対法則』
著者:佐久間馨
ゴルフのパットがうまくなるために、1アドレス(構え方)、2ストローク(打ち方)と距離感、3グリーンの読み方を写真を交えてその方法をわかりやすく解説。ラウンド当日の練習方法も、5分間~20分間の練習時間別に紹介。パッティングは、グリーンの傾斜を読む力、その感性を育むために必要な基礎技術をこの本で体得していただきたいと願いながら書きました。技術と感性が向上し、スコアアップに、そしてゴルフのおもしろさアップにつながりましたら幸いです。
公開日:2020.03.14