ファイナルはアルゼンチンとフランスのカードに決まり、カタールワールドカップもいよいよ大一番を迎えます。
今大会も多くの感情が渦巻き、様々な人の心を動かしましたが、裏ではまた別の意味で心を動かされるイベントでもありました。
日本ではさほど関心の対象となっていないようですが、今回のホストであるカタールでの人権侵害問題に関して、様々な問題が指摘されています。
まず、同国での開催が決定してからは移民労働者における問題が注目されてきました。
大会最高統治委員会の事務局長であるハッサン・アル・タワディ氏は、今大会の準備過程において、これまで400から500人の移住労働者が亡くなっていること認めています。
しかし、国際人権団体や、また別の報道では全く別の数字を出していたり、実際の数字に関しては多くの疑問が残っています。
デンマーク代表は何千もの方の命が犠牲となっている大会で目立ちたくないと、ユニフォームのロゴが見えづらいデザインにし、喪に服すためにサードユニフォームのカラーは黒を選んでいます。
また、カタールでは同性愛が法によって禁止されています。元プロサッカー選手であり、今回の大会アンバサダーを務めているハリド・サルマン氏は同性愛を「精神のダメージ」であると公言し、その後も否定的な言葉が続けられたため、会見が途中で打ち切られたようです。
今大会期間中、LBGTQへの差別撤廃を訴えかけようと、欧州7カ国のチームの主将がOneLoveの腕章を着用する予定となっていました。しかし、FIFAから罰金またはイエローカード提示を含む処分勧告を受け、中止せざるをえなかったと伝えられています。
この7カ国のうちにはドイツも含まれていますが、日本戦のキックオフ前の撮影でアクションを起こしていたことに気付かれた人もいるかもしれません。
選手たちが口を塞ぐポーズで写っていますが、これはFIFAに声を上げることを封じられたという意味を持つそうです。
また、イングランドは人種差別撲滅を訴える膝立ちのポーズを毎試合とっています。イングランド代表の膝立ちによる抗議アクションは2020年のアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドさんが殺害されたことをきっかけに世界規模で巻き起こった人種差別抗議から始まっています。
直近で行われたUEFAネーションズリーグでは、このアクションがとられなかったり、時として自分たちの行動がまだ意味を為すのかを考える時もあるようですが、その上で肯定し、やり続けていく意思を伝えています。
スポーツにおける政治的主張はなかなか難しいテーマですが、明日の投稿では私の考えを少し掘り下げていこうと思います。