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カモノハシは哺乳類なのになぜ卵を産むの?【生物の話】

Text:廣澤瑞子

~両生類の進化と哺乳類の誕生~

カモノハシという生物をご存知でしょうか。オーストラリアに棲息する哺乳類の一種です。カモノハシがシーラカンスと並んで生きた化石と称されるのはなぜでしょう。

カモノハシは、哺乳類といわれるだけあって、母乳で仔を育てますが、乳首がありません。仔は母親のお腹から染み出てくる母乳を舐めるのです。またなんといっても、カモノハシは卵を産むのが哺乳類としては異例です。カモノハシは、爬虫類らと共に両生類からわかれて、哺乳類が進化してきたことを体現しているといえるのです。

3億5000年前に魚類から両生類が誕生したのは前項で触れたとおりです。両生類は水辺から離れられないという弱点を持っていました。水辺から離れられれば、もっと自在に捕食活動もできるのに……そうして誕生したのが有羊膜類です。

羊膜の獲得によって、卵は殻に守られたので地上で育てることが可能になり、また成体に近い形にまで、殻の中で成長出来たのが大きな利点でした。

有羊膜類は爬虫類へと進化する竜弓類と、単弓類へと進化し、単弓類の一部から哺乳がでてきました。それが2億2500万年前頃です。その後、地球は恐竜全盛時代を迎えます。この頃、哺乳類の多くはネズミほどの大きさで捕食者である恐竜を避けるために夜間に活動していました。

哺乳類は進化を続け、現在のカンガルーが属する有袋類から、ヒトを含む哺乳類の大半が属する有胎盤類へと分岐します。そして約6600万年前の恐竜絶滅後、哺乳類が地上の主役に躍り出るのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 生物の話』
監修:廣澤瑞子  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
横浜生まれ。東京大学農学部農芸化学科卒業。1996年、東京大学大学院農学生命科学研究科応用動物科学専攻博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、米イリノイ大学シカゴ校およびドイツマックスプランク生物物理化学研究所の博士研究員を経て、現在は東京大学大学院農学生命科学研究科応用動物科学専攻細胞生化学研究室に助教として在籍。著書に『理科のおさらい 生物』(自由国民社)がある。


「人間は何歳まで生きられる?」「iPS細胞で薄毛を救う?」「三毛猫はなぜメスばかり?」「黒い花は世に存在しない?」ーー生命の誕生・進化から、動物、植物、ヒトの生態、最先端の医療・地球環境、未来まで、生物学でひもとく60のナゾとフシギ!知れば知るほど面白い!

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