『古事記』の編纂を最初に企図したのは天武天皇
『古事記』の編纂を最初に企図したのは、天武(てんむ)天皇(在位六七二~六八六年)です。
しかし、存命中には完成にいたらず、三代後の女帝・元明(げんめい)天皇(在位七〇七~七一五年)のときに、改めて完成させるよう勅命が下され、七一二年、ついに完成しました。このときに活躍したのが、稗田阿礼(ひえだのあれ)と太安万侶(おおのやすまろ)です。
稗田阿礼は舎人(とねり)という身分で、天武天皇の身の回りの世話などをする雑用係でした。
しかし、その暗誦能力がかわれ、それ以前に成立していた天皇の系譜と歴史を記した『帝紀(ていき)』『旧辞(きゅうじ)』という書物を暗誦し、学者である太安万侶がこれをまとめました。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古事記』
監修:吉田敦彦 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
1934年、東京都生まれ。東京大学大学院西洋古典学専攻課程修了。フランス国立科学研究所研究員、成蹊大学文学部教授、学習院大学文学部日本語日本文学科教授を経て、同大学名誉教授。専門は、日本神話とギリシャ神話を中心とした神話の比較研究。主な著書は、『日本神話の源流』(講談社)、『日本の神話』『日本人の女神信仰』(以上、青土社)、『ギリシャ文化の深層』(国文社)など多数。
古典として時代を超え読み継がれている『古事記』。「八岐大蛇」、「因幡の白兎」など誰もが聞いたことがある物語への興味から、また、「国生み」「天孫降臨」「ヤマトタケルの遠征」など、壮大なスケールで繰り広げられると神々の物語の魅力から、最近では若い層にも人気が広まっている。本書は神話・物語を厳選して収録し、豊富な図と魅力的なイラストで名場面や人物像を詳解した、『古事記』の魅力を凝縮した一冊!
公開日:2023.06.01