人工衛星のすごい受信システム
いまやカーナビゲーションやスマートフォーンは、カーライフや日常生活にとって必需品となっているようです。そのカーナビやスマホは、人工衛星が出す電波をもとに場所を特定します。これを「衛星測位」といいます。測位のための人工衛星が「全地球測位システム」衛星GNSS(Global Navigation SatelliteSystem)です。高度2万㎞から信号を送るアメリカのGPS(Grobal Positioning System)衛星がその代表例ですね。
日本では「準天頂衛星システムみちびき」QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)が日本の真上を飛んでおり、アメリカのGPSなどと組み合わせて測位するための電波を出しています。GNSS用衛星が発信している信号には、原子時計を利用した正確な時刻と衛星の軌道位置情報が含まれます。この2つの情報を受けとったナビシステムは、受信するまでにかかった時間を用いて衛星との距離を計算し、現在位置を特定するのです。
なお、情報には、4つのGNSS用衛星から同時に受信した信号を利用します。本来、位置の特定には三角測量で3つの衛星を利用するだけで間に合うのですが、時間の補正も含めて4つの衛星を利用しているわけです。人工衛星からの情報を受信するには、空が見える場所で利用する必要があります。トンネル内や地下では直接受信ができないのです。そのためトンネル内では車速計算から予測して位置を特定し、トンネルから出たときに衛星情報によって補正します。
地図情報として、道路ネットワークにおけるリンク(道)に国道・県道といった道路の種類、幅員、車線数などの情報を、ノード(交差点など)には交差点の名称、信号の有無などの情報付けがなされています。そのほかに最高速度、一時停止、道路標高、冠水情報、キロポスト情報なども付加されており、至極便利な機能が付いているのです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話』著/望月修
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話』
著:望月修
物理学は、物質の本質と物の理(ことわり)を追究する学問です。文明発展の根底には物理学の考えが息づいています。私たちの生活の周辺を見渡しただけでも、明かりが部屋を照らし、移動するために電車のモーターが稼働し、スマートフォンの基板には半導体が使われ、私たちが過ごす家やビルも台風や地震にも倒れないように設計されています。これらすべてのことが物理学によって見出された法則に従って成り立ち、物理学は工学をはじめ、生命科学、生物学、情報科学といった、さまざまな分野と連携しています。……料理、キッチン、トイレ、通勤電車、自動車、飛行機、ロケット、スポーツ、建築物、地震、火山噴火、温暖化、自然、宇宙まで、生活に活かされているもの、また人類と科学技術の進歩に直結するような「物理」を取り上げて、わかりやすく図解で紹介。興味深い、役立つ物理の話が満載の一冊。あらゆる物事の原理やしくみが基本から応用(実用)まで理解できます!
公開日:2023.06.15