フランクリンのライデン瓶による実験
電気を最初に発見したのは、PART1にも名前の出た古代ギリシャのタレスだそうです。きっかけは、貴石である琥珀を擦るとゴミなどがくっつくことでした。つまり「静電気」ですね。琥珀は古くはエーレクトロン〝electricity〟と呼ばれていて、それが電気を表す〝electricity〟になったといいます。そんな発見から長い年月が過ぎ、アメリカの物理学者で政治家でもあったベンジャミン・フランクリン(1706~1790年)が、「雷は電気だ」と証明しました。1752年、嵐に凧を揚げて明らかにしたのです。どうして嵐に凧を揚げるよう危険を冒したのかというと、ひとえに電気への興味、好奇心。そして蓄電池のない時代、実験で用いたのはライデン瓶です。ライデン瓶が電池代わりだったのです。フランクリンの凧実験(図1)は、①針金をつけた雷雨でも破れない絹製の凧をつくる、②凧からつないだ麻糸に金属製の鍵を結ぶ、③鍵の位置からは通電しにくい絹糸を結ぶ、④凧を雷の発生時に揚げる、⑤稲妻が鍵を直撃、⑥電気がライデン瓶に蓄電、という方法でした。
ライデン瓶は、ガラス瓶の内側と外側に金属(錫箔など)を貼って電極とし、瓶の蓋の真ん中に金属棒を通して先端に垂らした鎖が内面の錫箔と接触するようにしたもの。コンデンサと同じ原理です。名の由来は電気研究をしていたオランダのライデン大学に因んでいます。さて、②の凧につないだ麻糸は、乾燥していると通電性は低いのですが、水を含むと通電します。③の絹糸はとても堅牢で電気を通しにくかったため使ったのでしょう。フランクリンはまた、凧実験と同時期の16世紀半ばに避雷針を考案しています。彼は避雷針の効果を明らかにすべく自宅に避雷針を設置しましたその効果は懐疑的に見られていた。そこで友人たちに依頼し、避雷針を取り付けてもらいます。やがて、実験にとっては幸運なことに、ある家に落雷しますが建物に被害がありませんでした。こうして避雷針の効果が証明されたことで、アメリカでは急速に避雷針を設置する家が広がったといいます。いまでは当たり前の避雷針も、効果が理解されるまではたいへんだったのですね。
フランクリンの凧
雷と電気を証明するために使ったフランクリンの装置。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』野村 義宏・澄田 夢久
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』
野村 義宏 監修・著/澄田 夢久 著
宇宙や地球に存在するあらゆる物質について知る学問が「化学」。人はその歴史の始めから、化学と出合うことで多くのことを学び、生活や技術を進歩・進化させてきました。ゆえに、身近な日常生活はもとより最新技術にかかわる不思議なことや疑問はすべて化学で解明できるのです。化学的な発見・発明の歴史から、生活日用品、衣食住、医学の進化までやさしく解明する1冊!
公開日:2023.09.19