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症状と漢方処方 目の疲れ【生薬と漢方薬の事典】

Text:田中耕一郎

目の疲れ

目は、血を貯蔵する働きをしている肝と関係が深く、目を養っているのは血と考えられています。パソコンやスマートフォンの画面を凝視したり、強い光を見る機会の多い現代では目が酷使され、目を使うことによって血が消費されていき、目の疲れを起こします。また、目の休まる時間は眠っているときだけしかなく、睡眠不足も目の疲れを引き起こし、長引かせる要因です。

 

体質からみる血虚による目の疲れ

目の使いすぎが血の不足につながる

処方:四物湯

目を休め血を補う

目を養っている血が不足しているため、目に栄養が行き届かない状態です。血を蓄えるためには、まずは目を休めることが必要です。処方でも血を補うことを第一に考え、代表的な補血剤である四物湯などを用います。

体質からみる腎陰虚による目の疲れ

日頃からかすみ目などがみられる

処方:杞菊地黄丸

目の疲れに有効な枸杞子を

腎陰の不足では、疲れ目だけでなく、慢性的に目がかすんだり、視力が低下したり、乾燥したりする症状もみられます。

腎の働きを高める六味丸に、枸杞子と菊花を加えた杞菊地黄丸を用います。枸杞子が肝腎の血を補い、菊花が肝の熱を除いて、目をすっきりとさせます。ドライアイには、涙の分泌をよくし、うるおす効果の高い麦門冬湯もよく使われます。

その他 熱をもって充血しているの目の疲れ

熱が強まり目が充血する

処方:竜胆瀉肝湯

血を補いつつ、熱もさます

目の使いすぎだけでなく、ストレスも関与する疲れ目です。腎陰虚よりも熱が強くなり、目が真っ赤に充血したり、炎症を起こしたりします。 清熱薬で目と肝に効果のある竜胆草を含む竜胆瀉肝湯を使い、血を補いながら熱をさまします。

養生・セルフケア

ツボ

目の周りにあるツボを押して血行をよくし、目をすっきりさせましょう。

症状と漢方処方 目の疲れ【生薬と漢方薬の事典】

晴明
目頭のところにあるくぼみ。

太陽
目尻とこめかみの間にあるくぼみ。

【出典】『生薬と漢方薬の事典』著:田中耕一郎

【書誌情報】
『生薬と漢方薬の辞典』
著:田中耕一郎/ 監修:奈良和彦・千葉浩輝

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