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症状と漢方処方 のどの痛み・ のどの渇き【生薬と漢方薬の事典】

Text:田中耕一郎

のどの痛み・ のどの渇き

のどの痛みは、のどの使いすぎや、かぜなどの感染症にかかったことから生じることがほとんどです。のどが渇いていると余計にトラブルを起こしやすくなるので、空気が乾燥する秋冬には特に注意が必要です。急性の症状で起こる痛みの場合には、まずは痛みをとることを目指し、さらに、のどのうるおいがキープできるよう考えていきます。

体質からみる肺陰虚によるるのどの痛み、渇き

のどや口が渇き乾いたせきが出る

処方:麦門冬湯

乾燥する秋冬には注意する

水分代謝を調整している肺が陰虚になると、のどの分泌物が減り、のどが渇きやすく、せきをしてもからせきになります。冷やすことができず、熱ももちやすい状態です。秋冬の乾燥した時期に起こりやすく、のどの使いすぎもよくありません。

肺陰を補う処方を

肺の陰虚を治療する代表的な方剤は麦門冬湯です。主薬の麦門冬が肺陰を補い、うるおいを与えます。日頃からのどの渇きが気になる人に。

その他 かぜにともなって起こる扁桃腺のはれ

はれて強く痛む急性の症状

処方:桔梗石膏/桔梗湯

感染症によって炎症が起こる

のどが赤くはれ、強く痛みます。大抵はかぜなどの感染症にともなって起こる急性の症状で、炎症のため熱をもち、痛みで飲み込んだりすることが辛くなることもあります。

まずは、乾燥に注意して、肺の陰虚にならないようにすることが大切です。

炎症や化膿をおさえる桔梗を

桔梗湯、あるいは桔梗石膏が用いられます。桔梗湯は炎症、化膿をおさえる桔梗と、炎症、痛みをおさえる甘草をあわせた処方、桔梗石膏は、桔梗に、炎症をおさえ熱をさます働きが高い石膏をあわせた処方で、軽めの症状には桔梗湯、炎症が強くチクチクとした痛みを感じるような場合は桔梗石膏を使います。胃腸の弱い人などは石膏の入っていない桔梗湯のほうがマイルドです。

養生・セルフケア

過ごし方

マスクをして乾燥からのどを守りましょう。肺の養生には、秋、冬に無理をしないようにすることが重要です。乾燥する季節は充電期間に当てる気持ちで過ごし、かぜをひかないように注意しましょう。

 

食べもの

のどのうるおいを守るため、肺によい、ユリ科の植物であるゆり根や、玉ねぎなどを食事にとり入れましょう。梨も、肺陰を補う働きをします。

【出典】『生薬と漢方薬の事典』著:田中耕一郎

【書誌情報】
『生薬と漢方薬の辞典』
著:田中耕一郎/ 監修:奈良和彦・千葉浩輝

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