動圧と空気の力が生み出す揚力と抗力の秘密とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】


飛行機が、空気から受ける力「動圧」
進行方向に直角に作用する空気の力は、揚力。向きは抗力
ピサの斜塔でガリレオが実験したように、ある高さからものを落とした場合、空気の抵抗がなければ、重さに関係なく落下する速度は同じであることは、ご存知の通りです。
その落下速度は、下図のように毎秒9.8メートル速くなっていきます。これが重力による加速度です。空気の抵抗がなければ、加速度的に落下していくことになります(自由落下)。
たとえばスカイダイビングでは、ダイブしてから最初の数秒間は、重力の加速度により加速します。が、数秒後には一定の速度(伏せる格好で約時速200km!)で降下していきます。空気の抵抗である抗力と重力が釣り合ったからです。
パラシュートを開くと、抗力がより大きくなるため、着地しても足が折れない程度に減速され、抗力のほどよい大きさを維持しながらゆっくりと降下して着地します。
このように、空気中を高速で移動すると、空気から力を受けることがわかりますが、飛行機が空を飛ぶ場合には、空気から受ける力は、
・進行方向に直角に作用する空気の力を揚力
・進行方向とは逆向きに作用する空気の力を抗力
と区別しています。つまり、揚力も抗力も飛行機に作用する空気による力であって、作用する方向により呼び名が違うだけです。
空気から受ける力とは、これまで述べたように動圧です。抗力も揚力も同じように動圧に比例するので、計算式としてはほぼ同じ結果になります。違う点は、揚力係数の代わりに抗力係数が入ることぐらいです。
空気抵抗がない場合の自由落下

空気抵抗がある場合の降下
《スカイダイビング》
飛び降りて数秒後には空気の抵抗である抗力と重力が釣り合い、一定の速度で降下していきます。
80kg の体重(装備込み)の場合で時速200km/h!

抗力の式
抗力:飛行機が受ける空気の力の中で進行方向とは逆に作用する力

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治
「飛行機はなぜ、どうやって空を飛べるのか」という基本から、最新の知識、身近な航空雑学まで、飛行機の魅力をたっぷり図解でわかりやすく教える一冊。
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