ダイナミックバランス
具体的には腕とクラブを一体のユニットにしておいて、そのユニットを体幹と入れ替えることで動かします。バックスイングでは右に動くユニットに対し、体幹は左に動きます。ダウンスイングでは体幹は右に動きを変え、その結果ユニットは左に向かいます。このカウンター動作による左右の入れ替えがダイナミックに行われるほど強い弾道が打てます。
古流の空手の世界には「順じゅん体たい法ほう」というものがあります。「手や足を使わずに、体幹(重心)の動きに応じて身体を一ひと調子で動かす」ということですが、ゴルフに置き換えるなら「手打ち」「身体が開く」などは「順体にあらず」ということになります。ダイナミックバランスのモデルは、まさにこの「順体法」でボールを打つためのシステムと言えます。トップでの「タメ」、そして腕や身体の「ねじり」「うねり」を使う「でんでん太鼓」型ではなく、腕、そしてクラブを身体と同調させて動かす「竹とんぼ」型の動き、もっとわかりやすく言うなら、昔からよく言われる「ワンピーススイング」「シンクロナイズ(同調)」がこれに近いと思います。
結局、自分の身体の持つパワーやエネルギーをいかに効率よくボールに伝えるかが大事で、ダイナミックバランスによって、それらの内なる力の集約感や、放出感を感じたときに、スイングは気持ちのよさと共に充実しますし、実際にいい弾道が
出るのです。
いままではそれを練習量で作っていました。ベン・ホーガン(1912年〜1997年)が朝から晩までボールを打っていたという話が伝わっていますし、武術の世界でも、突きをマスターしようと思ったら、それこそ筋肉をつぶすまで、とにかくやたらめったら突きをやるそうです。つまりは小手先の筋肉で打てなくなったときに初めて、本当の突きが打てるようになるという方法論です。
【書誌情報】
『一生ブレない身体のスイング』
著者:永井延宏
ゴルフのスイングはゴルフクラブと自分のバランスが大切。最新のクラブヘッドが大型化するにつれて、クラブに働く力と自分の力を均衡させることが重要になっている。この本では、最新のクラブを題材に、いまのクラブに合ったボールの打ち方を写真でわかりやすく解説。さらに、クラブに働く遠心力など、見えない力に負けない身体の効率的な使い方を練習ドリルとともに紹介。「入れ替え動作」という、身体の動かし方を写真でくわしく説明している。
公開日:2020.08.26