あたたかい雨と冷たい雨、何が違う? 異なるプロセスで降ってくる雨の仕組み【最新の国際基準で見わける 雲の図鑑】


雲から雨が降るしくみ
「冷たい雨」が降るしくみ
このメカニズムの典型例は乱層雲から降る雨で、日本付近では通年見られます。
「冷たい雨」を降らせる雲の上部には、氷晶と過冷却水滴(0℃ 以下でも凍結せず水滴のまま存在)が混在しています。
氷晶は水蒸気などを取り込みながら成長し雪の結晶になります。さらにいくつかの雪の結晶がくっつきあい、雪片となり落下します。
この雪片が融けずにそのまま落下すれば雪に、落下中に融けて水滴として降ってくれば雨になります。

「あたたかい雨」が降るしくみ
積雲の雄大雲に伴うシャワーのような雨が、このメカニズムで降る雨の代表例です。夏の積雲や、熱帯地方にできる積雲は、大小さまざまな水滴から成り立っています。
この中で比較的大きくて落下速度の速い水滴は、落下速度の遅い小さな水滴を次々と取り込みながら落下します。
水滴はこれによりどんどん大きくなっていきます。 そして大きな雨粒となり、地表に到達します。これが「あたたかい雨」のメカニズムです。

【出典】『最新の国際基準で見わける 雲の図鑑』著:岩槻秀明
【書誌情報】
『最新の国際基準で見わける 雲の図鑑』
著:岩槻秀明
季節ごとに見られる雲やレアな雲、気象予報の役に立つ雲など、科学的な観点から見る雲に加え、雲海や霧など景色として楽しめる雲まで解説する雲図鑑です。