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五感がなければ第六感が働かない理由とは!?【廣戸聡一ブレインノート】

Text:廣戸聡一

五感がなければ六感は働かない

●勝負に勝つには第六感が必要
身体を動かすとき、五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)は情報入力をするための感覚器になります。今自分がどういう状況にあるのか、また、対象物や相手はどうなのか、どんな音がするのか、平行なのかなど、自分の身体を含むすべての情報を得るために、人は五感をフル活用して状況判断をします。こうして状況が把握できると、自己の持つ知識や経験値から「次はこうなるであろう」という、判断を下します。その上で、イレギュラー的に突発的に起こるかもしれない出来事にも準備します。それを第六感と呼んでいます。

たとえば、野球の捕手は打者を見て「この素振りならなんとなくこう来るかな」といったことではなく、今見ている条件を基に、第六感を使ってサインを決めていきます。五感で証拠を集め、推理した上で第六感までも駆使して決断をしているのです。つまり、五感がなければ第六感は働かないということ。試合に臨んで勝負ができるのは五感で、勝負に勝つには第六感が必要なのです。ここで述べている“第六感”とは、しっかりとした五感上のデータに基づいた判断、推理の上に成り立つものであり、突発感情的な「思いつき」とはまったく別なものなのです。

●第六感だけでも狙うことができる
「狙う」動作の際は、まず目で狙いますが、それには頭とうがい蓋平面を整える必要があります。そのため、狙うことは「脳の安定によって狙う」ということになります。脳が中心の感覚を持つところが自分の基準となるため、この基準に対して、末端の手足から脳に向かっていく情報と、脳から末端に向かっていく情報のやり取りが起こります。

この状態ができたときに、狙うための初動が起こるのです。これが構えの第一段階です。その後、スペース作りや動かす体幹の順序、脳の安定と入ってきたターゲットの情報など、五感で得られたものを、ピニオンギア(歯車)のように相互に関連させながら、精度よく動かしていくのです。このように、五感をすべて使った脳と末梢・末端とのやり取りが、狙うことの大前提です。

このやり取りを、各神経網を使って全身に流通させる中で、何かの条件で五感が使えなくなったときに、第六感だけで狙える瞬間が出てきます。これが「スーパープレー」と呼ばれるもので、精度の高い練習を積み重ねると、このようなプレーが可能になるのです。


【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一

「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!

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