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スポーツにおいて「礼を尽くす」が重要な理由とは!?【廣戸聡一ブレインノート】

Text:廣戸聡一

礼を尽くすとは?

●武道での礼=準備をすること
たとえば柔道で、同じ実力の2選手に試合をしてもらうとします。一方はしっかりと礼をし、もう一方は適当に礼をしてもらうと、果たしてどちらが優位に試合を進めるでしょうか。一概には言えませんが、きちんと礼をした選手のほうが組む前に勝つ姿勢ができていると言えます。なぜなら、しっかりと礼をすることで、身体に軸が形成され、有利な組手になるからです。つまり、「しっかりと礼をしなさい」という教えは「しっかりとした準備をして先手を取りなさい」ということなのです。

●「礼」の理念を理解する
まずは「礼」という動作の本来の意味を考えてみましょう。礼の基本は、相手に体幹部を向けることから始まります。手足も相手に向けますが、戦う場合は手元を見せ、戦わない場合は利き手を反対側の手で押さえながら身体の前に置き、「攻撃しませんよ」ということを相手に示します。それと同時に、味方だと思っていた相手が裏切って攻撃してくる可能性もあるので、相手のことをよく見ておかなければなりません。相手の動きに対応できるように「備える」ということです。そして、アイコンタクトでタイミングを察知しつつ、お互いに目線を下げて挨拶をします。

これが礼の一連の流れです。「動作」を「行為」として見せるのは、スポーツで言うフロー(流れ)と同じです。このように、「◯◯をしなくてはいけない」という部分を「理念」と言いますが、これを作法として行うことになったとき、その理念が消え去り、単に身体を動かす順番だけが重視されるようになってしまったのです。礼とは、相手に尊敬や感謝の念を示すものですから、ただ頭を下げればいいということではなく、「理念」をしっかりと理解することが大切です。

●礼法の基本は「心遣い」
礼法(礼儀作法)と聞くと、堅苦しいもののように捉えられがちですが、本来はそうではありません。基本はあくまで相手にしっかりと正対し、相手を思いやる「心遣い」にあります。たとえば、自分の先輩が敬語で話している人に対しては「自分も敬語を使うべきだな」という状況判断もそのひとつです。「今この場で自分は何を求められているのか」「自分はどんな立ち位置なのか」を判断し、場の状況に応じた立ち居振る舞いをすることを可能にします。

普段からこのような振る舞いができれば、競技の場面でも生かせるようになるでしょう。「どんな球を投げればいいか」「どんなパスを出せばいいか」などを状況に応じて組み立てられるようになるからです。すると、監督やコーチから「あいつはよくわかっているな」と認めてもらうことができます。

【書誌情報】
『廣戸聡一 ブレインノート 脳と骨格で解く人体理論大全』
著者:廣戸聡一

「本来の自分の身体の動きと理屈を知り、身体だけでなく精神的な部分との兼ね合いの中で、“いかにして昨日の自分を超えるか”という壮大なテーマを、人体理論の大家であり、日本スポーツ・武道界の救世主と呼ぶに相応しい、廣戸聡一が、自身の経験と頭脳のすべてを注ぎ込んで著す最強最高の身体理論バイブル。四半世紀でのべ500,000人の臨床施術により、多くのトップアスリート、チーム、指導者、ドクターとの関わりの中で行き着いたトレーニング&コンディショニング理論の集大成、ここに完成。オリンピック競技を含む全52種目を個別にも論及、紐解いた、すべてのアスリート、指導者、スポーツファン必携の書!

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