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フェデラー/ナダル/錦織圭から学ぶ最高の上達が得られる「ミス推奨」テニススクールとは!?【新装版 勝てる!理系なテニス】

「ミス推奨」テニススクールの開校

●田中信弥/元オリンピック&日本代表コーチ

●非常識だけど最高の上達が得られるスクール
「いかに威力のあるボールを打つか?」にフォーカスした身体の使い方は、自然と回転運動になります。反対に、ミスを気にして、「コートの中にボールを入れたい」となると、後ろから前にソロォ~ッとラケットを振るようになるのです。

ですから、ウィークエンドプレーヤーには、分度器、フラフープ、土星の輪のように、回転運動に沿ったスイングを目指しましょう、と言います。すると、当然、ミスが出る。まっすぐボールの後ろから前にラケットを振らないので、初期の頃はミスが先行する。世界を目指すジュニアも、初めのうちはミス、ミス、ミスのオンパレードです。なぜなら、安易にコートに入れる打ち方ではなく、確かな威力をボールに宿す打ち方を初めから導入するからです。つまり、本物の打ち方で本当にうまくなるには、ある時期、ミスをすることから逃げてはいけない。怖がって、コートの中にボールを入れたくなる欲求に負けてはいけない。そんな時期が必要なのです。

もちろん、私も同じです。9歳からテニスを始め、ミス、ミス、ミスの毎日。でも、正しい打ち方を追求し続けるので、あるとき、多くの人が取れないような、威力と安定を兼ね備えたボールを打つ方法を手に入れることとなるのです。

ということは、必要になるのは、ミスを推奨するテニススクール。「正しい打ち方でミスを続ける先に、威力は違えど、世界トップ選手と同じメカニズムでボールをコートに入れる日が到来する」こんな看板を掲げるテニススクールの出現を願っています。

もちろん、ウィークエンドプレーヤー自身も頑張らなければなりません。「ミスが気になる……」「ミスをすると怒られる」というのが大人の文化だからです。そのため、会社でも、家庭でも、無意識にミスを避ける。確かに、それはひとつの大事なことかもしれませんが、ことテニス上達には当てはめてはいけない。なぜなら、テニスは本来、ミスをするスポーツだからです。

フェデラー選手も、ナダル選手も、錦織選手も、みんな、みんな、ミスをする。ならば、いちばんテニスが発展途上で、ミスをして当たり前のウィークエンドプレーヤーが、ミスを気にしすぎるのはおかしい。逆効果です。もう、十分すぎるほどミスを気にして練習しています。ならば、解放。世界トップ選手がテニスを始めた幼少期と同じように、いっぱい、いっぱい、ミスをする。その代わり、世界トップ選手と同じような打ち方でミスをする。これを、ご自身の意志で、強い意志で、行ない続けることが最短上達へのひとつの道だと考えます。

私も含めた指導側も同じです。テニス歴が浅く、練習回数も満足に確保できないウィークエンドプレーヤーのミスは、大歓迎してあげる。そして、自分もミスを重ねてうまくなったことを強調して伝える。そうすれば、テニスの本質からズレることなく、かつ多くの方が望む世界トップ選手のような打ち方ができるようになっていきます。

ですから、“ミス推奨”テニススクールの開校。そんな非常識なテニススクールができれば、今までにない最高上達をウィークエンドプレーヤーに提供できると思います。「ミスはしてもいいのですよ!」という概念が伝わったら、次は「ボールを飛ばす」と「コートに入れる」を分けて練習してもらいます。コートという規格があるテニスは、「威力あるボールを打つ」のと「ボールをコートの中に入れる」という、相があります。

ただ、私の経験上、そして17万人以上のウィークエンドプレーヤーを指導してきた経緯からすると、初めから両立させるのは難しい。そこで、分けて行なうのです。まずは「ボールを正しく飛ばす」をマスターし、それから「ボールをコートの中に入れる」に移行するのです。

もう少し具体的に言えば、「ボールを飛ばす」なら、初めはバックフェンスを目がけて打つ。正しい打ち方でという条件はつきますが、まずは飛ばしの限界を知ることから始めます。そこで「あぁ、自分のボールはここまで飛ぶんだぁ」と実感する。肌感覚で理解するのです。

そして、「ボールを正しく飛ばす」ことができたら、「ボールをコートの中に入れる」の練習を開始。もちろん、コートの中に入れるのはボールに回転をかけることで行ないます。回転量を調節したり、ボール弾道を調節したりして、最終的にはコートのどこにでもボールを落とせるように進化していくことを目指すわけです。

この手順で練習を重ねた人は、「コートの中にボールを入れなきゃぁ……」と、試合になった途端に心臓バクバク、陸に揚げられた魚のように口をパクパクさせる息苦しさがなくなります。大げさに言えば、「ラケットを振るだけでコートの中にボールが入る!」という、プロだけが手に入れる特別な世界を、グッと自分の力で引き寄せることになるでしょう。

出典:『新装版 勝てる!理系なテニス 物理で証明する9割のプレイヤーが間違えている〝その常識〟!』著者/元オリンピック&日本代表コーチ 田中信弥、理論物理学者 松尾衛

『新装版 勝てる!理系なテニス 物理で証明する9割のプレイヤーが間違えている〝その常識〟!』
著者:元オリンピック&日本代表コーチ 田中信弥
理論物理学者 松尾衛

元オリンピック&日本代表テニスコーチと気鋭の物理学者による常識を覆すテニス理論、指南書。5万人超のウィークエンドプレーヤーが納得した現場理論を、理論物理学で証明した、すべてのプレーヤーのテニスを躍進させる書。「サービズは上から下に打つのは間違い」「テニスは不等式でできている」「身体は動かさずに打つ」など、常識破り、型破りな指導法で結果を出し続ける田中コーチの独自のテニス理論を、理学博士の松尾氏が自ら体験で得たプレーを「物理屋」の観点で解説・証明する―――まったく新しいテニスの本! 

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