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阿河徹が語るヘッドスピードを上げる最大のコツとは?【100を切れない7つの理由・10の上達法/阿河徹】

Text:阿河徹

ドライバーをパターのように使えば飛ぶわけがありません

なぜアマチュアはインサイドからクラブを下ろしてくることができないのでしょうか。それは角速度というものを理解していないからだと私は思います。理解していないので当然、それを利用することもないのです。

プロや上級者のダウンスイングでどういう現象が起きているかというと、トップオブスイングに存在する手首の角度が保たれたまま下りてくるわけです。これを「タメ」と言いますが、このタメがキープされたままクラブが下りてきて、インパクトの直前でタメがほどかれることにより、クラブヘッドは加速します。つまり、手首の角度によってもたらされた加速、スピードであり、だからこそ私はこのメカニズムを「角速度」と呼んでいるのです。ヘッドスピードを上げるには絶対に必要なメカニズムです。

ところがほとんどのアマチュアは角速度のメカニズムを使えていないのです。なぜかというと、タメを作ると「こんなんじゃとてもまっすぐ飛ばせない」と思うからなんですね。

手首の角度をキープしたまま下ろしてくると、クラブヘッドは自分の背中側のほうにあって視覚に入りませんから、これが物凄く不安なんです。そこでどうするかというと、ヘッドが見えるように切り返し直後に手首の角度を戻そうとするわけです。これがいわゆる「アーリーリリース」で、100を切れないアマチュアにほぼ共通する現象です。

インパクトの前に手首のタメがなくなり、なおかつクラブフェースは軌道に対してスクエアに戻ってしまいますから、あとは先端のクラブヘッドと手元のグリップエンドを等速度で動かすしかなくなります。これはパターのストロークと同じで、ヘッドを走らせない打ち方です。要するにドライバーをパターのように使ってしまっているということなんですね。それでは飛ぶわけがありません。

飛ばないから体を揺さぶってパワーを加えようとしますが、クラブの使い方を根本的に間違っているということに気付かないと、いつまでたっても飛ばないし、スコアもまとまらないということになってしまいます。

そもそも、ゴルフクラブとはクラブヘッドとグリップがシャフトという棒でつながっている道具です。シャフトはしなるものの、基本的には硬い物質なので、先端のクラブヘッドが速いスピードで動くということは、もう片方の端であるグリップエンドもそれに対応した運動をする必要があるということです。アーリーリリースの人はグリップエンド側を走らせることでクラブヘッドも同じ速度で走らせようとしているようなもので、それではボールを飛ばすために必要なヘッドスピードは絶対に得られません。クラブヘッドとグリップエンドの運動量は基本的にフィフティフィフティ。目標方向にヘッドが動くならば、それと同じ速度でグリップエンドが飛球線後方に向かって動くということを理解してください。

このことはシャフトの真ん中を握ってクラブを振ればイメージがつかめると思います。コックを使ってピュッとヘッドを走らせたとき、グリップエンドの動きはどうなっていますか? ヘッドと同じスピードで逆方向に走っているでしょう。グリップを普通に持ってスイングしたときも同じことが起こっているのです。

クラブヘッドとグリップエンドの位置関係がどうなっているかというと、ダウンスイングではヘッドが右でグリップエンドが左、対してフォロースルーではヘッドが左でグリップエンドが右です。つまり、インパクトを境に、ヘッドとグリップの位置関係の入れ替えが起こっているわけです。これがスイングの原理であり、上手い人のスイングでは必ずこの入れ替え現象が起こっています。

ところが多くのアマチュアにはこの現象が起きず、ダウンスイングからグリップエンドが目標方向に動き続けます。インパクトでは本来、クラブヘッドとグリップエンドはスクエアな関係に戻る必要がありますが、角速度を使わないアマチュアのインパクトはグリップエンドが左にずれています。このまま普通に当てるとフェースが開いて右に飛びますから、アウトサイドからクラブを回してきてインサイドに振り抜き、なおかつフェースを閉じることで、それなり
にまっすぐ飛ぶように調整するんですね。しかし何度も言うように、このようなスイングでは加速はできませんから、いわゆる「飛ばないスライス」しか打つことはできないのです。

【書誌情報】
『100を切れない7つの理由・10の上達法 劇的に上手くなるスイングの作り方』
著者:阿河徹

なかなか上手くならないアマチュアゴルファーのスイングには、致命的な欠陥がある。そこで本書では、アマチュアのスイングの悪いクセを7つを解説。さらに、著者が「スイングの設計図」と呼ぶ、正しいスイングの動きをイラストでわかりやすく紹介する。そして、その基本の動きが身につき、上達に役立つ10のスイング・ドリルも公開する。スイングに悩んでいる人をはじめ、これからスイングを学ぶ人、基本を再度見直したい人も活用できる一冊である。

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