山本由伸や平良海馬が捕手のおでこ付近を狙う高めフォーシームを取り入れる理由とは!?

プロ野球“最新トレンド”とは?
「トラックマン」や「バレルゾーン」、「フライボール革命」といった言葉をご存じだろうか?近年、野球界ではMLBを中心に大きな変革が起きている。最新のテクノロジーを駆使して野球のプレーを数値化、データ化することで見えてきた“球界の最新トレンド”とは? メジャーリーガーやプロ野球選手などをサポートしている株式会社ネクストベース・アナリストの森本崚太さんに話を聞いた。
高めフォーシームの効果!捕手のおでこ付近を狙う
――バッターと対峙するピッチャーのトレンドはいかがでしょうか。
森本 打球に角度を付けることを考えると、アッパー軌道でボールをとらえたほうが、打球が上がりやすくなります。このスイング軌道から見て、もっとも対応が難しいのが高めのフォーシーム。トップからバットが加速するまでの距離を取りにくく、高い技術を要する。そのため、高めのフォーシームで攻めるバッテリーが増えています。
――「高め」となると、少し曖昧な言葉に聞こえますが、具体的にどこを攻めるのがベストでしょうか。
森本 「フォーシームの縦の到達位置と空振り割合の関係」を見てもらうと、イメージがしやすいと思います。横軸にホームベース到達時の地面からのボールの高さ、縦軸にスイングに占める空振り割合を取ったグラフになります。高めにいくほど、空振り割合が増えているのがわかるはずです。特に、地面から100センチに近づいたあたりから一気に上昇しています。

――狙い目はそのあたりですね。
森本 こういう話をすると、「球速が速くなければ意味がないのでは?」と思うピッチャーが出てくるのですが、決してそうではありません。そこまでスピードがなくても、低めよりも高めのフォーシームのほうが空振り割合は高いという数字が出ています。昔から「アウトローのストレートが生命線」と言われますが、空振りだけを考えたら、高めを狙ったほうが効果はあるのです。
――日本でも使われる、高めの「釣り球」とは少し違うのでしょうか?
森本 キャッチャーが中腰に構えて、完全なボール球を要求してしまうと意味が変わってきます。MLBのキャッチャーに多いのが、片ヒザ立ちの姿勢で高めに要求していることです。バッターの身長にもよりますが、ベルトよりもやや上ぐらい。座っているキャッチャーであれば、おでこのあたりを狙うのがオススメです。NPBでは、平良海馬投手(西武)や山本由伸投手(オリックス)が意識して高めを使っているようです。
――「おでこを狙う」という考えは面白いですね。
森本 もうひとつフォーシームについて付け加えると、MLBではフォーシームの投球割合を減らすピッチャーが増えています。フォーシームは高めに投じない限りは空振りを奪いづらく、被打率も高い。バッターも、基本的にはフォーシームに狙いを定めています。2020年の数字を見ると、ダルビッシュ有投手(パドレス)は17パーセント、前田健太投手(ツインズ)は20パーセントしかフォーシームを投げていませんでした。先ほど例に出した平良投手も山本投手も、150キロを超えるフォーシームがありながらも、そこに頼らない投球を見せています。
【PROFILE】森本崚太(もりもと・りょうた)1992年10月18日生まれ、東京都出身。國學院久我山時代はエースとして活躍。現在は株式会社ネクストベースのトップアナリストとして、トラッキングデータをはじめとした野球データの解析を担当している。侍ジャパン社会人代表ほか、プロ・アマ問わず数多くの投手の球質測定やピッチデザインも行っている。8月27日には初の著書『野球データ革命』を出版した。
出典:『がっつり! プロ野球(29)』
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