砂漠で頼れるお伴!西アジアの厳しい気候の砂漠地帯で足となり、文明を発展させる大きな助けとなった家畜とは?【図解 地理と経済の話】

厳しい気候でも西アジアが発展できたのはラクダのおかげ【図解 地理と経済の話】
ラクダの存在が砂漠を交易ルートに
西アジアの中東地域は、亜熱帯高圧帯に属しています。年間を通じて気圧が高く、そのため乾燥が激しい地域です。ちなみに、世界の多くの砂漠は、この亜熱帯高圧帯の影響を受けて形成されています。
乾燥してはいても、温暖なので水があれば灌漑(かんがい)により小麦の栽培が可能です。そのため、大河の流域に早くから文明が誕生し、発展していきました。チグリス・ユーフラテス川流域、ナイル川流域などがそれに当たります。
砂漠地帯では、オアシスも重要な水源となります。この近くには都市国家が生まれ、中継貿易の拠点となりました。
砂漠地帯で水運に頼れるのは大河周辺だけなので、それ以外の地域では交易のための足が必要でした。そこで重宝されたのが、ラクダ(ヒトコブラクダ)です。
ラクダは背中のコブに蓄えられた脂肪を、食事をとれないときのエネルギー源にします。このとき、代謝水という水分もつくられ、水分の補給が可能です。そもそも体質的に、体に長く水分を蓄えることができるようになっています。つまり、砂漠のお伴にこれ以上適した家畜もいないのです。こうしてラクダは荷物の運搬役として重要な役割を担い、西アジアの文明を発展させる大いなる助けとなったのです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
著者:井田仁康
著者プロフィール
井田仁康:筑波大学名誉教授。博士(理学)。1958 年生まれ。日本社会科教育学会長、日本地理教育学会長などを歴任し、日本地理学会理事。筑波大学第一学群自然学類卒。筑波大学大学院地球科学研究科単位取得退学。社会科教育・地理教育の研究を行っている。著書や編著書に『読むだけで世界地図が頭に入る本』(ダイヤモンド社)、『世界の今がわかる「地理」の本』(三笠書房)などがある
累計300万部突破!『眠れなくなるほど面白い図解シリーズ』経済ジャンル最新刊、世界のニュースもお金の流れも、地理がわかればもっと面白い!『地理と経済の話』
昨今、地理的条件から政治を分析する「地政学」が注目を集めています。国土の形や立地、隣国との位置関係や気候などから、政治的・軍事的な影響を研究する学問で、世界情勢を紐解くうえで欠かせない考え方といえます。実は、地理は政治だけでなく、経済にも大きく関わっています。一見繋がりが見えにくい地理と経済の話ですが、
・インドでIT産業が特に発展したのはなぜ?・天然資源に恵まれたアフリカがなかなか成長できなかったのはなぜ?・中国やインドに続いて今後さらに伸びていく国はどこ?・中東で大量の石油が採れるのはなぜ? これらはすべて「地理」で説明ができます。今の世界情勢からこの先世界がどう動いていくかまで、世の中の流れがわかるようになる「経済地理学」が面白く学べる一冊です!
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