日常に見られる認知の歪み「認知バイアス」とは一体何か?【眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス】

認知バイアスとはいったい何か?
【認知バイアス・アンカリング】

日常に見られる「認知の歪み」

あなたがマンションを買おうと考え、不動産業者と話したとしましょう。そこで、7000万円という価格を提示されたらどう思うでしょうか?もちろん、場所や広さにもよりますが、想定していた価格を超えていれば「高いな」と感じることでしょう。

しかし、その前提として、不動産業者から「このあたりの物件の相場は1億円」と聞いていたら、受ける印象は「安い」となるでしょう。

実は、これこそ、認知バイアスの代表例「アンカリング」の効果なのです

最初に聞いた「1億円」という価格が、船の錨(アンカー)のように頭に残り、それを基準に評価が変わってしまうのです

このアンカリングのように、何らかの情報によって認知が歪められることを「認知バイアス」といいます

「認知」とは、視覚や聴覚などの五感を使って情報を得て、それが何かを知ること。「バイアス」は、かさ上げ、偏り、歪みによって、偏った見方をすることを意味します。つまり、「認知バイアス」とは、偏見や先入観、一方的な思い込みや誤解などを幅広く指す言葉といえます

認知バイアスを知ることによって、より合理的に思考し、日常生活を円滑に送ることができるようになるのです。

認知バイアスの意味と代表例

認知

目で見る、耳で聞くなど、五感の情報から、脳が処理をすること

バイアス

「かさ上げ・偏り・歪み」を指す言葉。主に偏った見方をしているときに使う

認知バイアスとは

偏見や先入観、固執断定や歪んだデータ、一方的な思い込みや誤解などを幅広く指す

認知バイアスの代表例「アンカリング」

10,000円という金額が、まるで船の錨( アンカー)のように頭に残り、次の判断に影響を与えてしまう

本質的ではない、もしくは無意味な情報が判断に影響を与えることをアンカリングという

参考文献

  • Daniel Kahneman,“Thinking,Fast and Slow”2011.[ダニエル・カーニマン(村井章子訳)『ファスト&スロー:あなたの意思はどのように決まるのか?』早川書房、2012年。]
  • Matteo Motterlini,“Trappole Mentali,”Come Difendersi Dalle Proprie Illusioni E Dagli Inganni Altrui,2008.[マッテオ・モッテルリーニ(泉典子訳)『世界は感情で動く:行動経済学からみる脳のトラップ』紀伊國屋書店、2009年]
  • Richard Thaler,Cass Sunstein,“Nudge:Improving Decisions About Health,Wealth,and Happiness,”Penguin Books,2009.[リチャード・セイラー、キャス・サンスティーン(遠藤真美訳)『実践 行動経済学』日経BP、2009年。]

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス』監修:高橋 昌一郎

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス』
監修:高橋 昌一郎

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「認知バイアス」は物事の判断が、偏見や先入観、歪んだ情報・データ、個人的経験則・記憶、思い込みなどによって、非合理的になる心理現象。社会学(社会心理学)や経済学(経済行動学)、論理学、認知科学など幅広いジャンルで研究されている。

本書では、数ある「認知バイアス」から、「確証バイアス」「正常性バイアス」「同調性バイアス」「希少性バイアス」をはじめ「ハロー効果」「ダニング=クルーガー効果」「プロスペクト理論」「スリーパー効果」など、読者の関心や興味が強いと考えられるもの、身近で陥りやすい危険の高いもの、知っていると生活にも役立つものを中心に厳選して、図解でわかりやすく伝える。

フェイクニュースや詐欺的行為や犯罪が蔓延し、AI技術の向上などによって、「何が正しいか」わかりにくくなった現代の世の中で、賢く生きていくためには必須の知識!

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