“なぜやめられないのか”? 賭け事と認知バイアスの関係【眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス】

一度ハマると抜けられない【ギャンブラーの誤謬】

賭け事に熱くなると認知が狂う

賭け事で負けが続いたとき、「次こそは勝てるはず」と熱くなって泥沼にはまったことはありませんか?こういう状態になると冷静な判断ができなくなり、「もう1回」、「もう1回」となかなかやめられなくなってしまうもの。これは「ギャンブラーの誤謬(ごびゅう)」という認知バイアスに陥った状態なのです

たとえば100分の1の確率でアタリが出るパチンコ台で、1000回もハズレが続いたとしたら、そろそろアタリが来ると思うかもしれません。しかし、次にアタリが出る確率はあくまでも100分の1であり、それまで何千回はずれ続けようと当たりやすくなるわけではありません。ギャンブラーの誤謬に陥ると、そのことを忘れて「そろそろアタリが来るはず」と、ついつい勝負を続けてしまうのです

これはギャンブルに限った話ではなく、株式やFXなどの投資にもいえることです。相場が下がっているときに「そろそろ上がるはず」と買いを入れていたら、さらに暴落した……というケースも珍しい話ではありません。

このように、負けや損が続いて「次こそは」とむきになっているときは、ギャンブラーの誤謬を思い出してみてください。勝負をいったんやめて冷静に考え直してみると、次に打つべき最善の手が見つかるはずです

本来の確率を見誤って勝負にのめり込む

ギャンブラーの誤謬 =「次こそはアタリが来る」と思って本来の確率を見誤ってしまう心理

どれだけハズレが続こうが次にアタリが出る確率はつねに変わらない

5回連続で1が出る確率は…1/6 の5乗=約0.01%

過去の結果は未来に影響しない

参考文献

  • Bowell Tracy and Kemp Gary, Critical Thinking: A Concise Guide, Routledge, 2015.
  • 市川伸一(編)『認知心理学4:思考』東京大学出版会、1996年。
  • 服部雅史/小島治幸/北神慎司『基礎から学ぶ認知心理学:人間の認識の不思議』有斐閣(有斐閣ストゥディア)、2015年。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス』監修:高橋 昌一郎

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス』
監修:高橋 昌一郎

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「認知バイアス」は物事の判断が、偏見や先入観、歪んだ情報・データ、個人的経験則・記憶、思い込みなどによって、非合理的になる心理現象。社会学(社会心理学)や経済学(経済行動学)、論理学、認知科学など幅広いジャンルで研究されている。

本書では、数ある「認知バイアス」から、「確証バイアス」「正常性バイアス」「同調性バイアス」「希少性バイアス」をはじめ「ハロー効果」「ダニング=クルーガー効果」「プロスペクト理論」「スリーパー効果」など、読者の関心や興味が強いと考えられるもの、身近で陥りやすい危険の高いもの、知っていると生活にも役立つものを中心に厳選して、図解でわかりやすく伝える。

フェイクニュースや詐欺的行為や犯罪が蔓延し、AI技術の向上などによって、「何が正しいか」わかりにくくなった現代の世の中で、賢く生きていくためには必須の知識!

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