強いストレスが引き金となる「解離性障害」と「PTSD」【眠れなくなるほど面白い 図解 メンタルの話】

ストレスから逃れる自己暗示的作用

強いストレスが引き金となる障害のひとつに「解離性障害」があります。

これは、ストレスによって、記憶が一部なくなったり、体を動かせなくなったり、痛みを感じたり、人格が変わるなどの障害です。

脳の変性が起きる結果ではなく、無意識的な自己暗示による作用と考えるほうがわかりやすく、苦しい状況から逃れるために無意識がつくり出した幻想に自分が支配されてしまうようなメカニズムです。

その結果、ある出来事についての記憶を忘れたり、自分が誰だかわからなくなる「解離性健忘」や、手足が動かなくなったり、声を出せなくなる「転換性障害」といったさまざまな症状が出るようになります。治療としてはカウンセリングや、苦しい状況そのものを解決していく必要があります。

また、「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」という病気もあります。人間の脳は、よいことよりも悪いことを記憶に残すようにできているため、とくに生死にかかわるような強烈な恐怖を伴う記憶というものは、なかなか忘れることができません。

そのため、ふとしたきっかけで、嫌な出来事を生々しく思い出す、フラッシュバックといった症状に悩まされることになります。忘れたくても忘れられない病気であり、カウンセリングなどが治療上重要です。

心を守る働きが過剰に反応して起きる症状

解離性障害

ストレスや悩みによって追いつめられ、無意識的な自己暗示によって、自分と意識や記憶などが分離する障害。

解離性健忘

  • 記憶に空白期間がある
  • 自分が誰かわからない
  • 誰と話したかわからない

解離性遁走

  • 突然、家や職場などから姿を消してしまう
  • 記憶がなくなる

転換性障害身体症状

  • 手足が動かなくなる
  • 声が出なくなる

離人症

  • 自分が体から離脱しているように感じる
  • どこか現実感がない

解離性同一性障害

  • 複数の人格がかわるがわる現れる
  • いわゆる多重人格

心の傷が引き起こす不快な反応

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

生命が脅かされる強烈なストレスの かかる出来事

  • 自然災害
  • 事故
  • 犯罪被害
  • 性的暴行
  • 虐待など

生死に関わるような災害や事件、事故、大ケガなどを経験したり目撃したりする(トラウマ)と、そのことが記憶に残り、精神にさまざまな悪影響を与える。

そのときの記憶が心に悪影響を与えさまざまな症状が出る

  • 侵入体験(フラッシュバック)
  • 回避症状
  • うつ状態
  • 解離性健忘
  • 過覚醒など

嫌な出来事を生々しく思い出したり(フラッシュバック)、トラウマに関係する場所の回避、自己肯定感の低下や気分の落ち込み、不安感、記憶の喪失、常に緊張感に支配されて落ち着かないといった症状が現れる。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 メンタルの話 』監修:益田 裕介

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その精神疾患のなかでも最も多いのがうつ病などの気分障害。
一度精神に不調をきたすと回復が容易ではないため、日頃から心を安定に保つための“メンタルマネジメント習慣”が大切です。

メンタルと一口にいっても、症状や悩みは人によってさまざま。
例えば「気分に波があって感情をコントロールできない」、「仕事に対するやる気やモチベがまったくない」、
「やったことのない新しいことに挑戦するのがこわい」、「褒められても、好きなことをしても満たされない」、
「いつも何かに追われて不安を感じる」などなどなど……。

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