飛行機はなぜ飛べるのか?自動車と飛行機に働く「4つの力」の話【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】

自動車と道路、飛行機と空気の4つの力関係

空気は何もしないと、飛行機を支えてくれない

自動車が道路上に停止していられるのは、自動車に作用する重力(じゅうりょく)が道路を押す力と、垂直抗力(すいちょくこうりょく)と呼ばれる道路からの反作用による力が釣り合っているからです。一定の速度で走行している場合は、エンジンによる前進する力と道路の摩擦力や空気抵抗など、抗力(こうりょく)と呼んでいる進行方向とは逆向きの力が釣り合っています。

以上のように、自動車には重力、道路からの反作用、前に進む力、抗力のあわせて4つの力関係があることがわかります。

飛行機の場合も、自動車と全く同じで、4つの力関係で成り立っています。しかし道路と違って空気は、何もしないでいると飛行機を支えてくれることはありません。重力と釣り合うためには、空気から力をもらう必要があります。その役割をするのが、翼(つばさ)です。

翼が発生する力を揚力(ようりょく)といい、揚力を得るためには、飛行機は前進し続けなければなりません。つまり、飛行機は移動するためだけではなく、揚力を得るためにも前に進む必要があるわけです。前に進み、翼が空気を切ることで、空気からの反作用として揚力が発生するのです。

さらにエンジンが生み出す前に進む力のことを推力(すいりょく)、空気が抵抗する力を抗力と呼んでいますが、自動車と同じように、同じ高度を一定速度で飛行している場合には、重力と揚力、推力と抗力がそれぞれ同じ大きさとなっています。

飛行機の性能を調べるための重要な要素に、揚力と抗力との比である揚抗比(ようこうひ)があります。揚力250トンに対して、抗力が14トンの場合の揚抗比は18になります。これは飛行機の重さの18分の1の力ですむことを意味します。

自動車が一定速度で走行中における4つの力の釣り合い

自動車を一定速度で動かす力は自動車の重さの約1/30程度であることがわかります。

飛行機が一定速度で飛行中における4つの力の釣り合い

飛行機を一定速度で飛ばす力は飛行機の重さの1/18程度であることわかります。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治

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