飛行機の「アクセル」はどこにある? 操縦席でパワーを操るレバーの正体とは【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】

エンジンのパワーをコントロールするレバー

自動車のアクセルに該当するスラスト・レバー

エンジンをスタートしたところで、次はどうやって推力の調整をするか調べてみましょう。

自動車の場合は、エンジンの出力を調整するアクセルは足下にありますが、ジェット旅客機は、操縦席のペデスタルと呼ばれている中央台座にあります。

なぜ中央にあるかといえば、足下には方向舵と、車輪ブレーキを操作するためのペダルがあること、また左に座っている機長と右席に座っている副操縦士の両方から操作できるようにするためです。

ところで、飛行機の場合はアクセルとは呼んでいません。ピストン・エンジンからの呼称をそのまま受け継いでパワー・レバー、スロットル・レバーなどと呼んでいることもありますが、推力を英語でスラストというので、スラスト・レバーということが多いようです。

しかし実際に現場では「もう少しパワーを足すように」「もっとパワーを絞って」などと航空業界用語が飛び交っています。

スラスト・レバーを進行方向に出すと、推力が大きくなり、後方に引くと小さくなります。レバーから手を放しても自動車のアクセルのようにもとに戻らず、その位置のままです。

そしてもっとも引いた位置が最少推力、つまりアイドル(緩速運転)になります。

スラスト・レバーを前に進めると、簡単に言えば燃焼室に入る燃料の量が増えて、それにともない熱エネルギーも増加して、出力が大きくなります。しかし、単純に燃料さえ増やせばよいわけではありません。それはなぜか、次の項で理由を考えてみましょう。

スラスト・レバー

スラスト・レバー
スラスト・レバー

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治

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