パイロットの負担を軽減する、飛行を自動制御するデジタルの力【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】


安全運転を可能にする燃料制御の装置
燃料コントロール装置もデジタル方式へ
燃料の流量を急激に減らした場合を考えてみましょう。慣性の法則から圧縮機は急には減速できません。その結果、今度は空気の流れに対して燃料流量が少な過ぎて、燃焼室内の火が吹き消されてエンジンが止まってしまう、フレーム・アウトという現象が起こります。 パイロットにとっては、コンプレッサー・ストールもフレーム・アウトも起こってほしくない現象です。
さらに、高い高度では空気密度が薄くなるので、その点も考えなくてはなりません。もちろん、飛行機の飛ぶ速度も大きな問題となります。しかし、これらの問題があるからといって、パイロットがその都度考えながら燃料流量を調整するのは、大変困難なことです。
また飛行中に風の急変などで、速度や姿勢が大きく影響を受ける場合も多々起こります。そのような時に、コンプレッサー・ストールやフレーム・アウトを気にして、レバーをゆっくりと操作しなければならないようでは問題です。
以上のようなことが起きないようにするための装置が、燃料コントロール装置です。 この装置は燃料流量だけを制御しているのではなく、エンジンが安全に効率よく運転できるように、圧縮機の羽根の角度の調整や、燃焼室の熱膨張制御など、エンジン全般のコントロールもしています。
初期のジェット・エンジンは、すべて機械式で作動するアナログ制御方式のため、燃料制御装置(FCU)と呼んでいました。 現在ではデジタル制御方式で、全権デジタルエンジン制御装置(FADEC)、あるいは電子式エンジン制御装置(EEC)と呼んでいます。その機能は、燃料制御だけではなく多岐にわたっています。
エンジンを制御する装置


ECU: エンジン制御ユニット EIU: エンジン表示ユニット
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治
「飛行機はなぜ、どうやって空を飛べるのか」という基本から、最新の知識、身近な航空雑学まで、飛行機の魅力をたっぷり図解でわかりやすく教える一冊。
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