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AIはどうやって言語を学んでいるのか【AIとテクノロジーの話】

Text:三宅陽一郎

AIは人間の言葉を認識&理解している?

最近では、スマートフォンやスマートスピーカーに話しかけると、人工音声で答えてくれたり、電源のオンオフなどの動作をしてくれたりします。一見、何気ない受け答えに見えますが、ここには高度なAIの技術が用いられているのです。

人間とコミュニケーションできる自動会話システムの機械を開発することは、これまでは至難の業でした。なぜなら、そこでは①音声を認識して文字に変換する、②その文字の意味を理解する、③コンピューターが言語を使って受け答えをする、というプロセスが円滑に行われる必要があるからです。

発せられた言葉は空気の振動として入力・数値化されて文字に変換されますが、この段階ではまだ意味は扱いません。その後でAIが文字を理解するのですが、言葉には主語の省略、同音異義語の使用、現在居る場所や時間帯、性別、季節など前提の省略などがあります。

こうした「曖昧(あいまいさ)」に対しては、ディープラーニングの手法が大いに役立ちます。言語を理解する際には、言語とその使用例である書籍やインターネット上の文章群、学習に使用したデータベースなどと照合し、文字の意味を推論して相手の意図を理解し、受け答えをどのようにすれば良いかを考えます(ただしこうした知識を積まずに、その場の会話の流れに応じて返答するものもあります)。

 

昔は「人工無能」と呼ばれ、一定のルールに従った返答しかできなかったAIは、人間と対話ができるまでに成長しました。今後、さらなる技術の革新によって、さらに円滑なコミュニケーションができるようになるでしょう。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 AIとテクノロジーの話』
監修:三宅陽一郎  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
ゲームAI開発者。京都大学で数学を専攻、大阪大学大学院理学研究科物理学修士課程、東京大学大学院工学系研究科博士課程を経て、人工知能研究の道へ。ゲームAI開発者としてデジタルゲームにおける人工知能技術の発展に従事。国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会チェア、日本デジタルゲーム学会理事、芸術科学会理 事、人工知能学会編集委員 。


進化し続けるAI(人工知能)とテクノロジーにより「シンギュラリティ」は刻々と近づいている。ビッグデータ、IoT、ディープラーニングをはじめ注目の仮想通貨・ブロックチェーン・MRなど、知らないではすまされない最先端の技術革新と私たちの近い未来の「変わる生活」をについて、科学オンチにも身近で大切な話題を中心テーマにわかりやすく図解した一冊!

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